Ned Doheny『NED DOHENY 』


ネッド・ドヒニーというミュージシャンをご存知だろうか。
国内ではあまりメジャーではなく、知る人ぞ知るというような存在なのだけれど、とても好きなミュージシャンの一人だ。

彼のデビューアルバム『NED DOHENY』。
1973年の作品だ。
アコースティックギターとピアノの音がメインの楽曲に、繊細で優しげなヴォーカル。
私の好きなロック要素は全くないけれど、彼の弾く繊細でいて強さも感じるギターの音。
ロマンティックでメランコリックな作風と言えば伝わるだろうか。

そして見る人の心を一瞬で掴んでしまう、温かみのある笑顔のジャケット写真。
20代だった私はこの笑顔になんて素敵なんだろう…とキュンとなったものだ。

彼にはどこか品の良さも感じるのだ。
後に知ったことだが、ドヒニー家はビバリーヒルズの大富豪であるらしい。育ちの良さが伺えるのはそういった背景も少なからずあるのかもしれない。

このアルバムを夜寝る前のひとときの自分時間に聴くと、ゆったりと気持ち良く眠りにつくことができる。

私の好きな曲は
I Know Sorrow
Trust Me
Postcards From Hollywood
Standfast

何度聴いても溜息が出てしまう。

彼のライブはこれまでに2回観ている。
初めてのライブはかれこれ30年以上も前に、今は無き新宿厚生年金会館で。
ギターを手にステージに現れた彼はすでに満面の笑み。それだけで、わー♡と感激してしまった。ロックのライブと違い、皆着席して静かに歌に聴き入っている。
そして彼の代表作でもあるWhat Cha' Gonna Do for Me。皆これが聴きたかったのか…。
会場が静かに盛り上がった。

2回目のライブは今から15年程前にビルボードライブ東京で。
昔と変わらぬ優しい笑顔でステージに登場した彼は、歳を重ねて甘いマスクに渋みが加わり、とても素敵な紳士になっていた。
和やかな雰囲気の中、ライブがスタート。
彼の歌を生で聴ける幸せを噛み締めた。
ライブでもその人柄が出るものなのだろう。
終始温かい雰囲気が会場を包んでおり、観客もリラックスした様子で彼の音楽に身を委ねていた。
そして新旧織り交ぜた楽曲に酔いしれる。

ネッドドヒニーは所謂、AORというジャンルになるのだが、まだAORもよくわかっていなかった当時20代の私でも、いいな、好きだなと感覚的に感じ取ることができた。
この手のジャンルはそれまであまり聴いてこなかったのだが、自分の中にスッと入ってきたのだ。
この1stアルバムは地味だが、聴くほどに味わい深くなる。
2ndアルバムの『Hard Candy』のほうが知名度があり名盤と言われている。突然(1stから3年経っているので突然ではないのだけれど)洗練されたオシャレなサウンドに変貌しているのだ。
2ndアルバムも名曲揃いで大好きだが、私は初々しさ溢れるデビューアルバムがなんと言っても一番好きなのだ。

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