Carole King 『Tapestry』
キャロルキングはずっと敬愛するミュージシャンの一人。
キャロルキングの名盤『Tapestry』。
静かに心に響いてくる大好きなアルバムだ。
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私も長い間ピアノを弾いていたので、ミュージシャンのピアノの音や弾き方、いわゆる演奏スタイルにとても興味があり、耳が敏感に反応してしまう。
個人的な感想だが、キャロルキングのピアノは例えるなら、ピアノの先生が弾くような、お手本のようなピアノだ。
譜面通りにきっちりと弾く、という印象。
やや硬めの音というか…。良い意味で几帳面な音なのだ。
楽曲は柔らかくてピアノは硬めの音、というところに彼女の人柄が反映されているようで面白い。
1曲目の"I Feel the Earth Move" から心を掴まれる。この曲はいろんな人がカバーしているが、これ、カバーしたくなるよなぁと思う。文句なしにカッコいい。
"Home Again"は冬の寒い日に暖かい部屋で静かに聴きたくなる。これを聴くとじんわりと幸せな気持ちに満たされる。
アルバムの1曲1曲に思い入れがあるが、ここで語るには長すぎてしまうので割愛する。
ラストの"(You Make Me Feel Like) A Natural Woman"メロディも歌詞もピアノも胸に響く。
私の気持ちを歌にしてくれている!と勘違いしてしまうほど、このアルバムを聴いていた当時20代の私は感動した。
Natural Womanをなんて解釈すればいいのだろう…とずっと考えていた。歌詞カードの対訳では確か、あなたは私を本当の女にしてくれる…と訳していた覚えがある。
自分の中では自然体な私、そのままの私、素直な私、本当の私、等身大の私…。という感じだろうか。女性と訳すより私と訳したほうがしっくりくる気がしている。
このアルバムは通して聴くことに意味があると思っているので、途中で飛ばしたりはしない。
このアルバムに散りばめられたキャロルキングの想い、優しさなどすべてひっくるめて『Tapestry』なのだ。『つづれおり』良いタイトルだなと思う。
先日1973年にニューヨークのセントラルパークで行われたライブ映像を観た。
そこには若かりし頃のキャロルキングが生き生きと映っており、彼女自身が楽しんで歌い、演奏し、喜びをピアノの音に乗せて身体全体で表現していた。
なんてチャーミングなんだろう。
大勢の聴衆を前にして、飾らない、等身大の自分で心のままに歌う。まさにNatural Womanだと思った。その姿に少し涙ぐむ。
キャロルキングのライブは15年くらい前にジェイムステイラーとのジョイントライブを武道館で観ている。
大好きな二人がステージに現れただけで、胸がいっぱいになってしまい、ウルウルしてしまった。一緒に観た少し年上の知人から、まだ始まってないよ、とからかわれた。
ライブが始まるとすぐに二人の世界に引き込まれる。
You've Got A Friendで会場全体が大合唱になった。ふと隣を見ると連れの知人も涙を拭いている。それを見た途端、涙が溢れた。泣きながら一緒に歌ったことを覚えている。
終始温かい空気が会場に満ちており、忘れられないライブになった。
キャロルキングの楽曲は優しい。これに尽きる。
いつ聴いても優しい気持ちに包まれる。
何かあったとき、何もなくても彼女の歌とピアノが聴きたくなるのだ。