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デ・キリコ展に行ってきた

ええ、もちろん神戸会場ですよ。朝イチで行ってきたので、人も少なく、ゆっくりと鑑賞できた。

もともとジョルジョ・デ・キリコは好きな画家だったんだが、なかなかデ・キリコの作品がまとまって展示されることってなかったんだよね。それもあって、今回のは絶対に外せなかった。

全体的な感想としては、概ね満足。ただ、『ヘクトールとアンドロマケー』のシリーズが殆どなかったので、それがちょっと残念。『ヘクトールとアンドロマケーの別れ』が見たかったのだけど、それはなかったなぁ。

『ヘクトールとアンドロマケー』は何種類もあるんだけど、それを少しでも多く出して欲しかった。今回は3つ出てたのかな。

デ・キリコ(僕はキリコ、とだけ呼ぶことが多いのだけど)の作品は、幅の広さが特徴的だよなぁ。僕が好きなエピソードとしては、『ギャラリーフェイク』の受け売りなのだけど、過去の自分の作品を否定したところ、だなぁ。『ギャラリーフェイク』中では「過去の自分、過去の成功を捨てて、新しい世界を開こうとした」みたいな感じで書かれているが、こちらの文章を読むと「完璧主義者だったので昔の出来損ないを否定した」みたいな側面もあったよう。で、自分自身が作り直した完璧に近い作品を世に送り出した、と。まあどっちが出来損ないなのかは、判断が分かれるみたいだが。

まあ、正直人間性はどうでもいいと思ってて、作品が素晴らしい、自分に取っていいと思えるものであれば十分だと思ってる。

その点で、デ・キリコの作品は僕は好きだし、作風が幅広なのもいい。ゴッホも過去からの変遷を見るととても大きく振れた画家だしなぁ。

いくつか写真が撮れる作品があったので、撮影してきた。こういうのが徐々に増えてきてるよね。もちろん観た時の感動であるとか印象ってのは大事なんだけど、後で見返せるのもいいと思う。見せてもらおうか、iPhone16 Proのカメラの性能とやらを!

自画像。写真もあったけど、ホンマにこんな顔だった
描かれたビスケットが違和感を醸し出す
デ・キリコと言えばマヌカン
この辺はドラクロワの影響が見える(ように思う)
この『オデュッセウスの帰還』は結構好き

最後の『オデュッセウスの帰還』だが、隣に書かれていた解説では、「英雄の旅路を、自身の長く険しい人生と重ねている」って書いてるんだけど、僕が受けた印象はちょっと違うんだよなぁ。なんつーか、皮肉っぽい気がして。

オデュッセウスが大冒険をして帰ってきたが、結局は部屋の中でボートを漕いでいた程度のものかもしれない、自分も古典絵画に向かったけど結局は昔の絵に戻ってきた、その程度の狭い範囲をウロウロとしているだけのものかもしれない、みたいな。オデュッセウスに自分を準えている部分はあるのだろうけど、それすらも皮肉っぽく見てた、そんな印象を受けたんだよね。

どれが正しいのかは分からんし、人それぞれの解釈があっていいとは思う。アートなんてそんなもんなんだから。

そういった皮肉っぽい印象を受けたところが、僕がこの絵を気に入ったところなんだよなぁ。

ということでポストカードも買いました。

次はどんな展示会に行こうかな。今、あべのハルカス美術館で印象派展をやっているらしい。正月に子供が帰省するはずなので、家族で行ってくるかな。めっさ混みそうだけど。


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