「顔だけじゃ好きになりません」2巻 安斎かりん

新しい少女漫画を開拓してみました。。感覚に追いついていないドキドキ感を見守ってください。


🌷「顔だけじゃ好きになりません」2巻 安斎かりん

書誌情報:安斎かりん「顔だけじゃ好きになりません」2巻(2021、花とゆめコミックス、白泉社、電子版)
収録作品:vol.6、vol.7、vol.8、vol.9、vol.10


vol.6

前回の考えさせられるシーンの振り返りから始まりました。
才南(さな)(いまさらだけど主人公の名前)は、けっこうちゃんと奏人先輩を好きみたい。。よかったです…

そしてこの回では初めて才南の女友だちが登場しました!!👀 柚里(ゆずり)ちゃん。

…と思ったらその友だち、ネトスト常習犯だった。。。
※本編では一応「ネトスト気味女子」(p22)とマイルドな表現をしています

でもこの子はあんまり陰湿じゃないかも、、

裏垢でリア友フォローしておいて相手が鍵垢にした後も投稿を見続けたり、海外アカウントを装った捨て垢で相手の鍵垢に毎週のようにフォロリク攻撃したり、気に食わないことがあったら報復に相手の本名(下の名前の漢字名)を別の裏垢のニックネームに使い始めたり、それを見つけた相手が通りすがりの人としてコメント欄で「自分は本名がそのニックネームと同じ者だがその名前の人に遭遇するのはけっこう珍しいので、そちらは何にちなんだお名前でしょう」と尋ねてみると「この名前は猫の名前からとりました」とか意味不明なことを言い出したりしなさそうだから(才南より長い人生で得た知見に基づくネトスト妖術使いの例)、きっと大丈夫…!

※ちなみに主人公・才南の名字は知見だったりします。。

ふたりきりって
思ってたの
わたしだけ

p30

↑ここのシーン、かわいかった!
ドキドキ😆


vol.7

気兼ねなく話せるのが女友だちではなく知り合ったばかりのクラスメイト男子なのがおもしろい…!
女友だちは情報収集の鬼なので「気兼ねなく」どころか警戒すべき存在で、なんとなく最初から協力的で信頼できるのがクラスメイトの土井垣くんという存在。。というわけです。現代的だな…

土井垣くんやさしいけど才南のことが好きというのがバレバレな設定なので、きっとその後の展開として『才南が土井垣くんの気持ちを知り無邪気だった自分を反省しつつも真剣に返事をしよき友人関係になろうとする…』までの流れが一気に眼前に立ち上りました。
ネオ少女漫画として土井垣くんにも今後心から好きになれる相手と出会い幸せになる展開を期待したいです。

告白?
もし…
もしするなら
それはもう言葉をつくす
どこが好きなのか
どう好きなのか
先輩が勘違いしないように
いままで言われた
「顔だけ」の言葉を
ひとつひとつ塗り替えるみたいに
言いたい

p60

言葉で伝えようという心意気が素晴らしいです!
土井垣くんの後押しというのもしみじみします。
才南は告白の言葉をどうしようかけっこう時間をかけて悩むのですが、それって良いことだなあと思います。

そういえば少女漫画では「相手を好きと自覚すること」と「告白を決意すること」は別の段階として描かれることが多いです。
「告白を決意すること」にあたって背中を押すのは信頼する友人の後押しであったり周囲が自分をサポートしてくれる境遇であったりする気がします。
逆に言えば「相手を好きと自覚」したときの次の選択肢は、
①好きをやめる
②好きを言わない
③好きを伝える
くらい多いのだ…ということですよね。今思うとなぜ自分の感情を否定する選択肢が前提にあるのだろう…と不思議にも思うのですが。

①も②も、相手と結ばれても問題ないような周囲の環境が整わないとか相手と釣り合わないとか外的要因が多い気がするのですが、社会通念がここ10年でもものすごく変容してきていることを思うと①や②の障壁の内容は少女漫画界でも変わっていくかもしれません。
ましてやこの「顔だけじゃ好きになりません」だって連載第1回でいきなり③(推しとしての好き)から始まってる訳ですし、段階を踏む順序が転倒しているんですよね。【好き(推し)と伝える→自分の中の好きについて考える→好きを自覚する→告白を決意する】というように…。

最後、先輩とふたりで会う場面で主人公が着てる服はパンツスタイルなのですが、ちょっと画期的だなと思いました。でも流行りの格好でかわいい。。漫画家さんはおしゃれさんが多いです。


vol.8

先輩が才南のおうちにあがったときの「縮尺がおかしい」(p90)という才南のコメントはなんかリアルでよかったです。

あと、「写真貼っていいよ」のときの才南のテンションの低温度具合もリアルでした。推しではなくて好きな人の写真を部屋に貼ることはまた別、という話題なのですが、正直あの場面の先輩は調子乗ってると思います←

才南は告白にむけて、奏人先輩に「何て言葉を言われたらうれしいか」探りをいれてみるのですが、先輩はこう答えます。

上っ面だったら全部やだ

p96

おれはもうこういうのがめんどくさい。
才南はちゃんと受け答えしててえらい。


vol.9

欲望の化身「モブちゃん」(p108)という概念にはなるほど〜そういう価値観があるのか~と思いました。
自分はほんとうにそういうのピンとこないんですよね、、自分が壁や空気となって推しを見守るみたいな行為に何の感動もないです。。

奏人先輩と才南は公式インスタアカウントを更新するために会っているので、基本的に「更新するために写真を撮ろう!」というのが二人が集う目的となります。

冷静に考えると奏人先輩はモデルさんのように、才南はカメラマンのようにそれぞれの役割を果たしていて、偉いなあと思います。才南は被写体への愛があるし、さぞかしきれいに撮影しているのだろう、、と思います。良いことです。

撮影中に先輩が、

あんた今日
いつもより集中してたからね

p120

と言ってくれる場面があるのですが、こういうの分かってくれるのポイント高いですよねーとリアルにしみじみしてしまいました。

満員電車は少女漫画では鉄板ネタですが、自分は「ネバギバ!」(武藤啓)の一場面を思い出してしまいました。。(本誌でしか読まなかった漫画もやけに脳裏に焼きつく説)


vol.10

温度差に胸がチクチクしました。。😭

ていうか、、、
10万フォロワー達成してさくっと交際を始めたらよいのでは(✧∀✧)とか楽観視してた大人でごめんなさいと思いました。

この回をひとことでいうと、「一緒に居るには理由が必要」という回なのですが……
ふたりとも、時間をかけてお互いに心を育て、
ゴールインしてほしいですな…!

なんとなくですが、何が起こったかは伏せておきます!


電子版限定おまけ漫画がついてるのが地味にうれしい。
内容はひみつ。


以上、2巻の感想でした。
不慣れなキュン漫画(?)もキュンなりに楽しいのですが『自分への好意が相手にあるのは分かっているので安心して好きでいられるが、確証がもてず踏み込めない!』という状況の旨味をたのしむのって、絶対に美味しいものをちょっとずつ確実に味わう確実性の高い幸福感なわけで… それでいいんだろうか とふと大人の自分が顔を出したりします。
こんな懐疑的な気持ちで「顔だけじゃ好きになりません」を読んでいる読者で自分はいいんだろうかと思いつつも、そんな自分を変えることは出来ないので、これからも懐疑的な感想を書いていこうと思います。←??
よろしくお願いします。

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