「顔だけじゃ好きになりません」4巻 安斎かりん
4巻、なんだか心をジャイアントスイングで振り回された気分でした。
=キュンとしました!!
🌷「顔だけじゃ好きになりません」4巻 安斎かりん
書誌情報:安斎かりん「顔だけじゃ好きになりません」4巻(2022、花とゆめコミックス、白泉社、電子版)
収録作品:vol.16、vol.17、vol.18、vol.19、vol.20
vol.16
面食いであるがゆえに、土井垣くんの美顔を先輩の前で高く評価してしまったことを自責する主人公・才南…
このシチュエーションだけで、少女漫画としてかなりオリジナリティがあってとてもよかったです。
自分も、才南よりずっと年上であるはずですが、、こじらせている友人のひとりやふたり…いました。
そして彼らが気にする言葉を自分が何気なく発してしまい、「ああ、あの人たちはこの言葉を気にしていたのか!余計な事したな、自分。言うんじゃなかった…」と後から反省・・・というよりは、しなくてもいい苦労や余計な面倒事を引き起こした馬鹿な自分を責めた経験は何度かあります。
(ただ、過ぎてみて思うのは、人の言葉を拡大解釈して思い込みを深める側の人には何を言っても通用しないし、何をフォローしたってどうせAと発想する自分のことをBを信条としている彼らは気に食わなかったのだ、と今は思うし、自分が悩んだって解決しないのならただ放っておけばよかったな、、ということですね。)
しかし才南たちは違います。。(そりゃそうだ)
奏人先輩と話し合う場面、すごくよかったです。
奏人先輩の言葉を引用しちゃいます。。
…みてください!このセリフ。
読んでるときは感動したけど、冷静にセリフだけ読んだら、どうみたってキラキラトーンで大ゴマ使ってヒーローが語る言葉じゃないですよね?!?!(ぜひ読んで実物を見てみてください)
だけど「顔好き」ではそれをやってのけるのです・・・!!!
3巻で自分はたしか『依存っていいのかな』という問題提起を感じ取って感想に書いていたと思うのですが、ここのシーンは才南が依存肯定しちゃうんですよね…
しかし自分はなんとなく納得したというか…、この依存は「愛情や信頼の始まり」の依存なんだな、と思いました。
生き物の子供って最初この世で親という存在に出会うと思うんですけど、どんな個体も最初は親に依存するんですよね。そしてそのあと巣立っていく。この世で信頼できる存在に初めて出会った時の気持ちかなと思います。
そして↑で引用した奏人先輩の、ただイヤイヤを言っているだけの言葉になぜ感動したのか・・・
それは、奏人先輩が率直なじぶんの気持ちを才南に言えたこと、
そして口に出して人に言えたということは、その自分の幼い考えを、自分自身で認め、『自分はこういう人間である』ということを表に出して表現することが出来たということ…だからだと思うんですよね…。
この身体性と精神性が合一した感じ・・・ちょっとスピノザを知った時みたいな感動をおぼえました。エネルギッシュで前向きな肯定感というか。。
最後の見開き、すっごい良い場面だったね!!!😆
vol.17
前から思ってたけど、この漫画のなかの『事務的な面』がちゃんとしてるのはとても現代的だなーと思いました。
才南は前回のvol.16で自分が告白していたことに気づかなかったのですが、土井垣くんに「それ告白してね?」と言われ、自分の告白行為に気づきます。
少女漫画の、とくにストーリー漫画のなかでは無意識の告白(?)とちゃんと目的意識のある告白は区別されている感じがします。
主人公格のふたりがとてもラブラブで仲がいいのに、いろいろと勘違いやすれ違いなどのトラブルがあり、結局告白までにとても時間がかかった…(これは自分の主観です。。)という漫画も今までに読んだことがありますが、
すぐに思い浮かぶのは日高万里「世界でいちばん大嫌い」です。
これ何巻で告白したっけ??
しかも主人公が美容師になる夢をヒーロー格のキャラに打ち明けるというか宣言することも、告白と同時にやらなきゃいけないタスクになっていて(←自分の主観です。。。)やたら時間がかかった気がします。
「顔好き」に話戻るんですけど後半感動しちゃった。。(今度はスピノザじゃないです…)
69ページの大ゴマの才南の表情、これは、もし時間を巻き戻せたら、漫勉で取り上げられるべきコマですね!!!!!!
vol.18
↑この土井垣くんのセリフのあとの才南が、かわいい~☺️
土井垣くんのフォローも的確!
と思ったら土井垣くん、すごい行動力のある世話好き…!
奏人先輩も偉いな。みんな偉いな。
みんな、16歳前後なのに感情的にならないし、相手に対し礼節は守っているし、自分の意見はきちんと言うし、まじで偉いね!!!
「顔好き」の感想のなかで人間関係の愚痴をこぼしてる自分が恥ずかしいよ!
SNSやってるひとが意外と無趣味っていうのもなんだかリアルでよかったです。
vol.19
ぎゃー😆 って感じの回でした。
奏人先輩が土井垣くんにこぼした心の引っ掛かりは、、たぶんですけど、一昔前(といいつつ2000年代くらい)の漫画だったら単行本1巻分くらい引っ張るんじゃないですか????
(タイトルは言わないけど、そんなに複雑な問題でもなくストーリーの主軸ってほどでもない『友人との仲たがい問題』で単行本1巻費やした人気少女漫画を大学生の頃、友達が教室に持ってきてたので読んだ…。 ページ費やしてるわりに仲直りもただすれ違いの誤解を解いただけで解決して「これだけかよ…!」と思った…。)
「顔好き」はもともと展開スピーディですけど、こういうところもさくっと登場人物に納得させて解決させて先へ進められるので、今のテンポってこれなんだなあと思いました。
奏人先輩が才南を訪ねてくるくだりからの、あの動画のシーンに至るまでが
すばらしい構成でした…!!!!
あの見開き、、よくぞ思いつかれた・・・!!!(大河ドラマみたいな言葉遣いに思わずなってしまいました。)
これはさ、、
美和総に入学するまで、才南がずっと奏人先輩をスマホ越しに見ていたから…この場面に辿り着くんですよね!!!
vol.20
奏人先輩、、、よかったね…!!😭
(ФωФ)ふふふ。
この回は、どきどきしました…!
5巻からは恋人編が始まるそうです。
そっかー!
交際中を描いた少女漫画、今まで自分はなにを読んだかな??
田中メカ「キスよりも早く」は交際?してたけど先生と生徒だから関係は伏せなきゃいけなかったし、
えーと、えーと…前述した「世界でいちばん大嫌い」は交際期間は遠距離だったしなー
高尾滋「ディアマイン」は婚約だったもんな…
絵夢羅「Wジュリエット」って、付き合ってたっけ?
…というか自分、あんまり漫画、読んでないな……
交際漫画といえば「ラブ★コン」かなって思うんですけど、あれは友だち彼氏の分類だしな…
思い出に残る交際漫画ってありますか?(突然問う)
自分の引き出しの中からなにも比較作品が見つかりませんでしたが、こうなったらただただ「顔好き」をふつうに読もうと思います。