【連載第2回】「顔だけじゃ好きになりません」を読んでみて思ったこと <ギャグセンについて>

↓↓ ネタバレしてるようでしてなかったです。↓↓


安斎かりん「顔だけじゃ好きになりません」を今年1月に読みはじめて、既刊6巻までを読みました!以下、思ったことをまとめます。(第2回)

前回は「顔好き」の感想を書く際何度も言及してしまう比較作品「世界でいちばん大嫌い」について、概要をざっくり説明しました。

今回からは「顔だけじゃ好きになりません」を読んで印象的だったことをピックアップしていきます。

版元ドットコムさまより。ビジュアルをスルーして感想を書き続けてきましたが、実はこういう漫画でした。


「顔好き」のギャグ

ギャグがちゃんとしてる。
そんな大事なこと?って思われるかもしれないけど、これは自分的にとても大事。
なんで大事?って聞かれると、それはわからない・・・

そこでさっそく引き合いに出したいのが「世界でいちばん大嫌い」(日高万里)なんです。これもめっちゃギャグシーンが多かった。ギャグ漫画ほどじゃなかったけど自分にとってはギャグ漫画だった。
万葉もだけど、扇子も杉本も、本庄も、新も、一久も、全員ボケ倒してましたよね…

ギャグシーンが多いので、コミックスのおまけページでは「弟も読んでる」といった読者のお便りが紹介されていました。本編もおもしろかったけど、アシスタントさんたちが登場するコミックスのおまけ漫画も抱腹絶倒だったんですよね。中高生レベルの抱腹絶倒だったろうけども。。
自分はコミックス柱に登場した日高万里先生のお兄さんのエピソードが好きでした。。

だいたい自分は田中メカ「お迎えです。」もギャグだったから好きだったし… 
なんでなんだろう。やっぱり「ラブコメ」だからってことなのでしょうか。
でも自分がラブコメの何にそんなに引っ掛かっているかというと、恋愛少女漫画には

  1. 恋愛をたのしむためのラブコメ

  2. ギャグセンに命かけたラブコメ

  3. 笑いは添え物。ラブストーリー

の3種があったような気がする…

1は例えば「りぼん」の漫画。「姫ちゃんのリボン」(読んだことないけど)とか、「ミントな僕ら」とか「グッドモーニング・コール」とか、あのふつうに楽しい感じ。矢沢あいのギャグもピカイチなのですが、広義でここに分類される気がする。

2は「せかきら」、田中メカ作品、「フルーツバスケット」もギャグの本気度高かったな…(かつこの作品はめちゃくちゃ暗かったので相乗効果で狂気を醸し出してた)。白泉社強いんですよね…といいつつ思い出せない。集英社だけど栗原まもる「学園恋愛者!」という漫画があったのですがあれも全篇ギャグ!という感じの気概がありました。あと「りぼん」時代しか知らないけど長谷川潤もここの分類の作家な気がする。そして小花美穂、藤井みほな。

3は集英社「Cookie」の藤末さくら、石田拓実とか、いくえみ綾。読んでないけどマツモトトモ、あと「クローバー」の稚野鳥子とか、、、読んでないけどレディースコミックに近い大人少女漫画とか。


つらつら挙げてて思ったんですけど、これって作者の性格ですよね。
そして自分はやっぱり、を読んでしまう。。。
2は、それ自身が、歪みを持っている。。。(主観による意見です)

恋愛っていうのは当人たちにとって、自分が何を求めているか(欲望)とか、自分には何が出来るのか(存在意義)、どういうふうに他人と関われるのか(能力)に向き合うシビアな局面なのであって、そのシビアさを引っ掻き回すようにギャグの旋風を吹き荒らさせてしまうというのはとてもアンビバレントな現象だと思うんです。「フルバ」のコメントでも触れたけど一種の狂気というか。小花美穂もこの感覚半端じゃないなーと思うんですよね、個人的に。


ギャグが吹っ切れた漫画をいろいろ思い起こしてみると、このレジェンドたちに比べると「顔好き」はまだ可愛いっちゃ可愛いギャグセンではあるなーとは思いますが、依存とか深みとか自分の生身の感情に足踏み入れていく一方で、その方向とは反対の方向にエネルギー(ギャグ)を加算していかないと居られない、、という、歪みポテンシャルを「顔好き」はかなり有していると思います。


考えながら書いたので、思ったよりアブノーマルな着地点に落ちてしまい「これでいいんか…?」と心配ですが、少女漫画のギャグセンが見逃せない訳は自分的にそんなところだと思います。
もうちょっと普通の言い方すると、ギャグって客観視と戯画化だと思うんですよね。自己の恋愛を客観視・戯画化するメンタリティに、たぶん自分は惹かれるところがあるんだと思います。


次回につづく・・・

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