WARの改善 - WPAの代替
要約
I. 従来の分析手法と限界
A. 状況中立的な分析
予想された得点差:17点
実際の得点差:20点(予想に近い結果)
限界:試合状況を考慮していない
B. Sabermetrics的分析
一般的指標:1勝 ≈ 10点の得点差
アストロズの評価例:
実際の得点に基づく評価:+2.0 WAA
wOBA(加重出塁率)に基づく評価:+1.7 WAA
解釈:アストロズが期待以上の成績
C. 従来の勝敗評価
勝者:常に平均より+0.5 WAA
敗者:常に平均より-0.5 WAA
限界:得点差の大小を考慮していない
II. 新たな評価手法の必要性
A. 目的
過剰得点の適切な評価
試合状況の考慮
得点のタイミングと状況の重要性反映
B. 勝率加算(WPA)の特徴と限界
特徴:
勝者に+0.5 WAA、敗者に-0.5 WAA保証
リアルタイムの試合状況反映
ベッターやファンに有用
限界:
リアルタイム情報依存
試合後分析に不適切な場合あり
初回と最終回の得点を同等に扱えない
III. 新アプローチ:Plus と Minus
A. パフォーマンス分類
プラス:
打者:ヒット、四球
投手:アウト
マイナス:
打者:アウト
投手:許したヒット、ウォーク
B. アストロズの例
打者:+18.5プラス点、-6.5マイナス点
投手:+6.5プラス点、-1.5マイナス点
合計:+25プラス点、-8マイナス点
C. 計算方法
目標:平均を上回る+0.5 WAA(+5点相当)
マイナス点(-8)を基準使用
必要なプラス点:13
実際のプラス点(+25)の52%を有効とみなす
過剰なプラス点を約半分に削減
D. マリナーズの例
+8プラス点、-25マイナス点
悪い成績も半分に削減し、-0.5 WAA
IV. 新アプローチの利点
試合全体を一つの作業単位として扱う
全打席をリアルタイムスコアと無関係に評価
最終スコアに基づく評価
V. WPAとの比較
WPA:各打席を独立した取引として扱い、その時点での重要性考慮
新アプローチ:試合全体を一つの取引として扱い、全打席を同等評価
VI. 接戦の分析例(2010年4月20日:パドレス vs ジャイアンツ)
A. ゲーム概要
結果:パドレス 1-0 ジャイアンツ
パドレス:1安打3四球
ジャイアンツ:6安打2四球
B. 従来評価と実際結果の矛盾
状況なし評価:ジャイアンツが優勢
実際の結果:パドレスの勝利
C. パドレスの新評価方法
獲得点:+7プラス点、-10マイナス点
目標:平均より+5点(勝利相当)
計算プロセス:
プラス7点を基準設定
必要マイナス点:-2点
実際の-10点を-2点としてカウント(20%考慮)
D. 代替アプローチ提案
マイナス点基準方法:
マイナス10回を基準
プラス7回を15回としてカウント
プラスの行為を2倍評価
予想値比較方法:
予想:+11プラス点、-6マイナス点
プラス7本に11/7ファクター適用
マイナス10本に-6/10ファクター適用
VII. 結論と今後の展開
新approachの利点:
接戦でのパフォーマンスをより適切に評価
試合状況考慮と実際の勝敗結果との整合性
リアルタイム情報非依存
過剰得点や極端な成績の適切な評価
複数の計算方法の可能性
ゲームレベルWPA的アプローチの基本枠組み完成
今後:細部の詳細化が必要