WARの改善:FIPの再構築

要約版

  1. home run(2点)、四死球(0.7点)に点数を割り当て、その他の打球事象はすべて0.3点の等しいアウトとして扱うwOBAfipと呼ばれる本塁打、四球、三振の3つの真の結果のみFIPの修正版を提案。

  2. ジェイコブ・デグロムの2021年のスタッツが例として使われ、彼の実際のFIPが1.28であるのに対し、wOBAfipは0.211と計算される。

  3. wOBAfipは極端なstatsを持つ投手によりmatchする傾向があるが、それでもBABIPのような要因のため、完璧に結果を反映するわけではない。

  4. 改良は問題点を解決する事を目的としているが、標準FIPの単純さと正確さが、大幅強化を非常に困難にしている。

  5. FIPの異なるversionとRun Modelの相関は、係数のわずかな調整でさえ結果を大きく変える可能性がある事を示している。

  6. Advanced Metricsに先立ち、二塁打のような特定の投手statsの利用可能性に疑問を呈している。

  7. 投手を評価する代わりに、伝統的な打撃statsと同じタイプのstatsを使うという提案もある。

  8. 将来のサイ・ヤング賞受賞者を予想したり、RAAのようなRun Valueの構成要素を検証したり、新しい守備指標を分析したりしている。

  9. sabermetrics分析におけるbiasについては、新しいstatsや評価を洗練させる努力とともに議論されている。

  10. 1950年代後半に野球で使用された科学と分析の内訳が示されている。

  11. 外野の肩と失点防止への影響について、盗塁の例を通して考察。

  12. 無死満塁で打者を歩かせることの価値と、一塁打を打つことの価値が戦略的に議論される。

  13. アーロン・ジャッジのような強力打者を意図的に歩かせることは、試合中のマネジメント戦略として議論される。

  14. 最近の偉大な投手と過去の伝説的な投手との間で歴史的な比較がなされる。

FIPは完璧な不完全性を持っている。その欠点は、実は維持するための属性なのだ。

本来はPlate appearance(PA)を使うべきだが、IPはどこでもあるので、IP統一。
係数は整数であってはならないが、13,3,-2の方が覚えやすいし、実際の数値はわからない。
係数は得点環境によって変えるべきだが、そんな事したら誰も係数を覚えられない。
チームや投手レベルでの失点は、FIPが提案する線形approachには従わないが、方程式の中で指数を見たがる人はいないでしょう?
とはいえ、古典的FIPを示しながら、より具体的な選手評価に用いるため強化版も用意する事は、何も悪くない。この強化版では、TTO baseのwOBAつまりwOBAttoを使用。TTOは3つの真の結果HR、SO、WALK(WALKは実際には意図しない四球やHit by pitch)。そして、wOBAttoをwOBAfipに変換できる。

まずは「standard wOBA」から:

0.7四球
0.9Single
1.25double
1.6 トリプル
2.0本塁打
合計をPA(打席、IBBは除く)で割ってwOBA。OUTや三振の係数は0であるため、明示的に考慮しない事に注意されたい。

でも、明文化してみましょう:

0.0奪三振
0.0 打球OUT
0.7四球
0.9single
1.25double
1.6 triple
2.0本塁打
さて、上記を少し整理:

0.0奪三振
0.0 打球OUT
0.9single
1.25double
1.6 triple
0.7四球
2.0本塁打

打球のOUT、single、double、tripleがひとまとめになっている事にお気づきでしょうか。これらは全てBall in Park(BIP)event、野手が関与するevent。FIP(Fielding Independent Pitching)では、野手が関与するperformanceとそうでないperformanceを分けて考えるので、ball in parkの結果については、投手に評価を与えない。20本の単打を打たれようが、0本だろうが、気にしない。
なぜなら、hitやoutを与えるのは投手ではなく、投手と野手のSynchronicityによって、そのような結果がもたらされるから。
投手が打球結果に与える影響は、後のSTEPで別の指標で扱う。FIPをできる限り純粋にしたいと考えている。OBPが安打と本塁打を区別しない(全て同じcount)ように、FIPもまた、Ball in Parkの結果については不可知論である。

Ball in Parkの平均wOBAは0.300。なので、その旨のwOBAfip式を作成できる:

0.0奪三振
0.3 BIP
0.7四球
2.0本塁打

2021年のジェイコブ・デグロムを例。彼は被本塁打が6本だったので、12点。彼は不用意な四球と安打が12個あったから、8.4点。146三振はもちろん0point。残り160BIPは48点。全て足すと48+12+8.4で68.4点となり、324PAで割るとwOBAfipは.211。この数値は、2021年、2 IP以上全投手の中でMLBをリードした。

wOBAfipをERAの尺度に換算するにはどうすればいいのだろうか。wOBAの2乗はRun scoreとほぼ近似。OBP×SLGが得点にほぼ直線関係を持つ事は、original Runs Created fanならよくご存じでしょう。wOBA自体がOBPとSLGのそれぞれとほぼ直線的な関係を持つので、wOBAの2乗はRuns Scoredと直線的な関係を持つ。

2021年、リーグwOBAfipは.324でした。デグロムは.211なので、リーグ平均の65%。二乗すると42%となり、デグロムの失点はリーグ平均4.27の42%、1.81。これがデグロムのwOBAfip。これを実際のFIPである1.28と比較すると、かなりの乖離。そして、2021年の彼のERAは1.08でした。つまり、wOBAfipを使ってClassic FIPの不完全性を全て修正しようとした結果、より悪い結果になってしまった。なぜか?主に、デグロムのBABIPがリーグ平均を遥かに下回っていた事に起因。もしwOBAfipの式で彼のBIPを.3ではなく.23としていたら、彼のClassic FIPに非常に近くなっていたでしょう。

言い換えれば、Classic FIPの全ての間違いが、正しい答えを出すために共謀した。そして、これはデグロムだけの問題ではありません。その season ERAと照らし合わせると、実はwOBAfipよりもClassic FIPの方が相関が少し強くなっていく。Classic FIPのsimpleさが通用しないのと同様に、全ての不完全さを修正し、複雑さと共に明確さを加えるFIPの再構築は、結局、私たちを助けてはくれない。オッカムの剃刀が、Classic FIPが生き残る理由なのだ。

一つ良いNewsは、Classic FIPを壊した極端なFIPの結果がwOBAfipで処理される事。

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