ルカ
レイカーズがマーベリックスからルカ・ドンチッチを獲得し、アンソニー・デイビスを3チーム契約で獲得 |Spotracニュース
レイカーズは「レブロン後」を見据えたスーパースターを確保
ロサンゼルス・レイカーズがこのトレードを決断した理由は明確だ。レブロン・ジェームズの後を担うスーパースターを手に入れること。
確かに、レブロンとルカ・ドンチッチの組み合わせは一見すると奇妙に思える。どちらもボールを持ってゲームを支配するプレースタイルであり、オフボールの動きに優れたタイプではない。しかし、それをどう機能させるかは、今後数週間から数ヶ月の間にJJ・レディックHCが解決すべき課題となる。
ディフェンス面では大きな痛手を負うことになるだろう。アンソニー・デイビスはリーグ屈指のディフェンダーであり、リム周りでは一人で破壊的な存在感を示していた。また、マックス・クリスティもチーム最高のペリメーターディフェンダーだった。
──だが、そんなことは些細な問題だ。
なぜなら、レイカーズはルカ・ドンチッチを獲得したからだ。
ルカ・ドンチッチという“特別な存在”
ドンチッチは、最近はやや怪我が多いかもしれない。
コンディション面の不安も指摘される。
審判との関係が未熟なのも事実だ。
だが、それらの問題は全て些細なことに思えるほど、彼は別格のプレイヤーだ。
ドンチッチは毎年MVP候補に挙がる選手であり、まだ26歳になったばかり。
そして何より、彼はすでに世界的なスーパースターだ。
多少の問題があったとしても、彼の持つ才能がそれを補って余りあることは明らかだ。
長期的視点:ドンチッチの“割引価格”
今回のトレードには、レイカーズにとって長期的なメリットがもう一つある。
ドンチッチは、スーパーマックス契約を結ぶ資格を失った。
通常、NBAのスーパースターは“指定ベテラン延長”(スーパーマックス契約)を結び、キャップの35%を占める大型契約を獲得する。しかし、それが可能なのはドラフト指名されたチームか、ルーキー契約中にトレードされたチームのみ。
つまり、レイカーズがドンチッチと契約延長する場合、彼の最大契約はキャップの30%までに制限される。
この差は2026-27シーズンの初年度給与で約850万ドル(約12.5億円)。
レイカーズにとっては、ドンチッチを中心としたチーム作りにおいて、貴重なキャップスペースを確保できることになる。
課題:ディフェンスの補強が急務
もちろん、今回のトレードでレイカーズの戦力に穴が空いたのも事実だ。
デイビスとクリスティを放出したことで、レイカーズはセンターとディフェンス力を大幅に失った。
現在、チームに残っている健康なセンターはジャクソン・ヘイズのみ。彼はバックアップセンターとしては優秀だが、スターターとしては物足りない。
マキシ・クレバー(足の骨折で数週間離脱)やマーキーフ・モリス(ロッカールームのリーダー的存在だが戦力としては期待薄)では、この穴を埋めることは難しい。
つまり、レイカーズはセンターを補強する必要がある。
幸いにも、チームにはまだトレードに使える資産が残っている。
獲得候補となるセンターたち
ディフェンス型センター
クリント・カペラ(ホークス)
ニック・クラクストン(ネッツ)
ロバート・ウィリアムズ三世(ブレイザーズ)
ヤコブ・ポートル(ラプターズ)
ウォーカー・ケスラー(ジャズ)
オフェンス特化型センター
ニコラ・ヴチェビッチ(ブルズ)
ヨナス・バランチュナス(ペリカンズ)
ディアンドレ・エイトン(ブレイザーズ)
バランス型センター(理想的なターゲット)
マイルズ・ターナー(ペイサーズ)
オフェンス・ディフェンス両方に貢献できるが、ペイサーズが放出する可能性は低い。
トレード可能な選手
レイカーズは、2031年の1巡目指名権を保持しており、これを交渉材料にできる。また、以下の選手をトレードに出す可能性がある。
八村塁(年俸約1700万ドル)
ゲイブ・ヴィンセント(年俸約1100万ドル)
2人合わせて約2800万ドルのサラリーをマッチさせることが可能。
さらに、レイカーズはオースティン・リーブスの放出にも前向きになるべきかもしれない。
ドンチッチとリーブスのオフェンス力は魅力的だが、ディフェンス面では脆弱な組み合わせだ。そのため、リーブスをトレードに出せば、よりバランスの取れたロスターを構築できる可能性がある。
そして、最大の疑問:「レブロン・ジェームズはどう思っているのか?」
トレード直後、一部の報道では「レブロンがデイビスとのプレーに飽き飽きしていた」と伝えられたが、ジェームズ自身がSNSでそれを完全に否定した。
しかし、それが本当に彼の本心なのかは不明だ。
ジェームズは過去にドンチッチを高く評価していたものの、同時にデイビスとともに優勝を果たした仲でもある。
では、レイカーズはジェームズの“その後”をどう見ているのか?
今シーズン中にトレードする可能性は?
クレイジーな話のようだが、レイカーズとウォリアーズは1年前にレブロンのトレードについて話し合ったという報道がある。
もしも交渉が再燃すれば、レブロンが今週中に移籍する可能性もゼロではない。
オフシーズンの動きは?
ジェームズは2025-26シーズンのプレイヤーオプションを持っている。
オプトアウトして他のチームに移籍する?
そのまま引退する可能性は?
まとめ:レイカーズの未来はルカ・ドンチッチとともに
レブロン・ジェームズがいつチームを去るかは分からない。
だが、レイカーズはその未来を見据えて、すでに次のスーパースターを確保した。
ルカ・ドンチッチという、NBA史上でも類を見ない才能を。
マーベリックスは柔軟に方向転換している。
これは「再建トレード」でも「パニックトレード」でもない。確かに大きな賭けだが、チームを勝者へと導くための組織としての信念に沿った動きだ。
ダラスのGM、ニコ・ハリソンは今回のトレード後、「チャンピオンシップはディフェンスで勝ち取るものだと信じている」と語った。
そこで登場するのが、アンソニー・デイビスだ。
確かに、デイビスはルカ・ドンチッチよりも約6歳年上であり、怪我のリスクが高い選手でもある。しかし、彼は今もオールNBAレベルの才能を持ち、まさに「ワンマン・ディフェンスシステム」とも言える存在だ。まだ十分なパフォーマンスを発揮できる余力があり、長期契約を結んでいる点も大きい。
デイビスはマーベリックスにとって大きなアップグレードとなる。今季、ドンチッチはほとんどの試合を欠場しており、ダラスのフロントコートは怪我人続出で手薄な状態だ。そんなチームにとって、デイビスは即戦力として大いに貢献できるだろう。
マブスは、デイビスが長年希望してきた「パワーフォワードとしてプレーする」という願いを叶える形になることを期待している。短期的には、デイビスはダニエル・ギャフォードの隣で先発する可能性が高く、P.J.ワシントンはフロントコートのローテーションの中でスーパーサブ的な役割を担うことになりそうだ。そして、デレック・ライブリーⅡが復帰すれば、デイビスとともにダラスの長期的なフロントコートの柱となるだろう。
デイビスは、いわば「そのままチームに組み込める」選手だ。
ディフェンスに優れ、オフェンスでも頼りになり、チーム全体のシステムを大幅に調整する必要がないタイプ。さらに、彼とカイリー・アービングは長年「いつか一緒にプレーしたい」と話してきたという。そんな二人が、ついにダラスでタッグを組むことになった。
キャップ面でも合理的な動きだ。
デイビスを獲得することで、マーベリックスはチームの方向性を保証されたようなものだ。ドンチッチにスーパーマックス契約をオファーするのではなく(もしそうしていたら、ダラスにとって厄介な状況になっていたかもしれない)、デイビスをより少ない額で確保する道を選んだ。これは小さな違いに見えるかもしれないが、長期的な財務の安定性と柔軟性をもたらす。
それに、今夏アービングがFAになる可能性があることを考えると、この動きはさらに重要だ。もしアービングがこのトレードに満足しているなら(※この記事を書いている時点では彼の気持ちについての報道はない)、マブスは「アービング&デイビス」という新たなスターコンビを確立できる。ドンチッチ&アービングのペアが機能していたように、新たなデュオも良い相性を見せる可能性は十分にある。
注目すべき点は、デイビスがこのトレードのためにトレードボーナスを放棄していることだ。
これには2つの重要な意味がある。
マーベリックスに現在と未来の両方における柔軟性を与える
デイビスがこのトレードに前向きであることを示している
もし彼が納得していなければ、ボーナスの満額受け取りを主張してトレードに障害を生じさせることもできたはずだ。
さらに、ダラスはこのトレードで2029年の1巡目指名権も獲得している。4年後のレイカーズがどうなっているかは予測不能だ。たとえドンチッチが加入したとしても、その頃のロサンゼルスは「レブロン・ジェームズ後の時代」を模索している最中だろう。この指名権がドラフトのどの位置になるのか、まだ誰にも分からない。
だが、最大の問題は──マーベリックスがルカ・ドンチッチをトレードしたことだ。
痛い。
ドンチッチは間違いなくスーパースター、それも超一流のスーパースターだ。彼がいれば、チームのゲームプランは彼を中心に組み立てられ、それだけで勝利の可能性が大きく上がる。MVP級の選手であり、今月末でまだ26歳になるばかり。
そして何より、彼はダーク・ノヴィツキーの後を継ぐ**「ダラスの顔」**だった。ドンチッチはグローバルなスーパースターであり、彼がいたからこそ、マーベリックスは世界的なブランドになった。そんな彼を失うのは、チームにとって計り知れない損失だ。
トレード後、ダラスではドンチッチについての様々な憶測が飛び交っている。彼のコンディション、チームへのコミットメント、怪我のリスクに関する懸念。そして、「マーベリックスは彼にsuperマックス契約を与えることをためらっていた」という報道まである。
もしそれが事実なら、ダラスがこの決断を下したのも理解できる。スーパースターと長期契約を結ぶことに確信が持てないなら、彼自身のためにもトレードするべきだった。
しかし、なぜもっと大規模な入札戦争を引き起こさなかったのか?
例えば、
スパーズはドンチッチ&ウェンバンヤマのデュオを実現させるために、どれほどの指名権を出せただろう?
ネッツはブルックリンにドンチッチを連れてくるために、どんな資産を動かしただろう?
ロケッツはドラフト指名権と若手の有望株をどこまで提供できた?
ジャズやサンダーなら、どうだったのか?
その可能性を知ることは、もうできない。それが残念でならない。なぜなら、ルカ・ドンチッチのような選手がこの年齢でトレードされること自体、極めて異例だからだ。
マーベリックスは、静かに動き、勝つための決断を下した。
それ自体は悪くない。
ただ、期待されるような圧倒的なリターンではなかった。
それこそが、このトレードの最大の疑問点だ。
従来の「superstarのトレード戦略」に当てはまる前例がないからこそ、なおさら信じられない。