童話風・朗読台本「シャドラリューと冒険の種」
全体的に明るく通すのもいいですし、段落の内容ごとに変化をつけてみる、臨場感たっぷり、抑揚たっぷりに読んでみるのも、いいですね。
ぱちり、とベッドの上で目を開けたシャドラリューは、誰もいない一人部屋なのに、息を殺して体を起こしました。
なぜなら、隣の部屋にはお父さんと、お母さんが眠っているからです。
いまからしようとしていることを、ふたりに知られたら止められるに決まっているので、必要以上に慎重になっているのでした。
シャドラリューはそうっと床に足を置いて、靴を履かずに、ゆっくりゆっくり窓辺に近寄りました。
靴を履かなかったのは、足音をなるべく立てないためです。
カーテンを開けると、満天の星の輝きで道が明るく照らされていました。
よしっと小さく拳をにぎったシャドラリューは、丸椅子を持ち上げて、そうっと窓枠のそばに置きました。
ゴクリとつばを飲み込んで、窓を開けて、丸椅子に乗り、窓枠の上に座りました。
そして丸椅子を持ち上げると、庭に丸椅子を置いて、その上に下りました。
「うまくいった」
小声でつぶやいたシャドラリューは、庭の先に見えている森へ、一目散にかけだしました。
森の中で待っている冒険の種を目指して、満面の笑みを浮かべて走る姿は、まるで空を飛んでいるように軽やかです。