「Topping the Deck: The Perfect Move」を読んで
こんにちは、ただのマジック好きです。
この本は2023年にVANISHING INC.から発売されたJamy Ian Swiss氏による7作目のレクチャーノートです。
詳しく知りたい方はマジシャン御用達サイトのConjuring Archiveをご活用ください。今更ですが、何か調べるときはこのサイトを活用してるんですが、凄すぎますね。エグいマジックもできて、神サイトも作れて、Denis Behr氏によるマジック界への貢献は計り知れません。
すみません。話が反れまくりました。
概要
この本はDai Vernon氏のレクチャーノート「Dai Vernon's SELECT SECRETS」に書いてある、"Toppig the deck"と題された項目について、著者であるJamy Ian Swiss氏が細部について考えたり、他の人のものを参考にしたりした方法論をまとめたものです。
Jamy Ian Swiss氏曰く、"Topping the deck"は他のパームを含めた全ての技法と比べても完璧に近いよね、ってことみたいです。
ここで言う完璧というのは、フォールスムーブとして最高に自然で見分けがつかない、ということだと思います。
"Topping the deck"においてはデックを揃えるという動作に擬態した技法であり、まぁ、この方法だったら揃える動きと見分けがつかなくなるだろうなって思います。
The Vernon Palm
"Topping the deck"はDai Vernon氏自身も非常に自信のある技法らしく、「Dai Vernon's SELECT SECRETS」にて解説されてはいますが、当時は自費出版らしくあまり広めたくなかったんだと思います。ティルト然り、本などで不特定多数に技法を広げるのはあまり好きじゃなかったんですね。
To Palm a Card
どの位置や手の形でパームしたらいいよ〜、っていう章。参考にはなりますが、真新しい発見はありません。
また、ここで書いてあるパームだとカードがめっちゃ曲がります。
The One-Hand Top Palm
ワンハンドトップパームに関しての小話。
片手だからミスディレクションがしやすい技法であるが、不自然な技法だからそもそもミスディレクションが必要だよねって話。読み飛ばして良い章です。
A Perfect Visual Deception
読み飛ばして良い章です。
Squaring the Pack
"Topping the deck"は揃える動作のフォールスムーブですが、その揃える動作の細かい解説です。
この技法をより自然に見せるためにフォールス元である揃える動作を統一または調整して、"Topping the deck"の動作をカバーする感じですね。この技法を習得するためには必要な動作ですが、個人的にこの揃える動作が手に馴染まない。デックを揃える動作って、割と本能的に行っていたのでそれを見直す良い機会なのかもしれません。
ちなみに、この揃える動作はクラシックパスにも応用できそうです。もちろん、その場合はミスディレクションが必要ですが。
Topping the Deck
この本の本題です。今まではこの技法の外側の話で、ここから中身の話になります。時間のない人は、先の揃える動作の章とここの章だけで十分です。
「Dai Vernon's SELECT SECRETS」に解説されてる内容に写真増やしましたぜって感じの内容です。
1番難しい動作のところは、注意点は書いてますが、各々しっかり研究してリバースエンジニアリングしてね。ってことみたいです。Dai Vernon氏も原書で手の形は人それぞれだからパームの解説ムズいよね、みたいな事を書いてあるので、しょうがないんだと思います。
写真増やしましたぜ解説なんですが、写真多すぎてもう半分くらいが同じ写真に見えます。親切すぎて、これ、動画で良いんじゃない?というレベルです。てか、動画で良いなこれ。
Completing the Action
パームした後の動作に関してです。
デックを揃えて、テーブルに置いただけですよ。っていうアピールの仕方は参考になります。全ての動作を流れるように行った方が良いだろうなと思ってたので、なるほどって感じです。
The Erdnase Connection
この技法はDai Vernon氏が「The Expert at the Card Table」を読んで辿り着いた技法ですよって話。
The Schwarzman Finesse
この技法に入る前の動作に関してのTips。
Flaws and Fixes
この技法に関してのトラブルシューティング的に箇条書きで注意点が書いてある章。この本で1番参考になった。
こうしちゃ駄目だよとか、ここ気をつけてね。みたいな感じで書いてあります。
まとめ
この本をもとに私自身2週間くらい練習してますが、もっと練習すれば自然になるだろうなと思います。
本書の中でワンハンドと比べていたので、私も比べると1枚パームするだけなら、今後もワンハンドを使うと思います。違和感が少ないのは"Topping the deck"ですが、両手が合わさるという不信感は拭えないのが正直なところです。
また、この2つの技法は同じ目的ではあるものの、違う性質の技法として扱った方が良い気がします。それぞれ技法を行うタイミングが違うので、私なら演技前に1枚パームしておく時は"Topping the deck"で、演技中にパームする時はワンハンドで、みたいに使っていきたいと思います。
この本で参考になったところは1つの技法に対して深く研究する、そのやり方の1例を見せてもらったという点です。
VANISHING INC.の紹介文には、これからパームを習得する人に最適な本と書いてますが、本じゃなくて良いならRoberto Giobbi氏のCard Magic Masterclassの4章をおすすめします。
総評すると、練習して読み返してを繰り返すことによってジワジワ味が出てくるタイプの本だと思います。決して初心者向きではないですが、パームの1つの考え方として、知っておいても良いのではないでしょうか。