『ざつ旅』と『例のアレ』の移り変わり
例のアレ、何だと思う?
■ざつ旅ってなによ
作者: 石坂ケンタ(鈴々森ちか)
Twitterアンケートで行き先を決め、ざつに旅をする漫画。
出典:ざつ旅-That's Journey- 1巻
ざつすぎるアンケート
下調べが不十分なので、目的地が営業時間外だったり、工事中だったりという事件が起こり、主人公(作者)も事件込みで旅を楽しむ実録系漫画。
出典:ざつ旅-That's Journey- 1巻
ざつに行動して痛い目を見ることも
Twitterアンケートは現実世界で実際に行われ、旅当日の様子も同アカウントに投稿される。それがどのように漫画に落とし込まれるのかも楽しみの一つ。
『例のアレ』
4巻収録の番外編は『例のアレ』から始まる。
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
前回無事に旅を終え、次はどこに行こうかと話していたのが嘘のように、家に籠もらないといけない状況になってしまった。
実録漫画だからこそ、伏線なんてものはない。
『例のアレ』
具体性の全くないこの4文字を、全員が同じ意味で共有できる。
2年前では想像がつかなかっただろうし、スッと受け入れてしまった自分に驚いた一コマ。
新しい生活様式
この番外編ではコロナ禍で変わってしまった日常が端的に描かれている。
TVでは外出自粛が呼びかけられ
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
暇を持て余し
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
入学式は中止になる
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
げんなりすることばかりだが、同時にそれを”新しい生活様式”として受け入れようとする様も描かれる
旅に行けないのなら家でうどんを作ってみよう
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
人に会えないのならば画面越しに会おう
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
人それぞれ差異はあれど、似たようなことをした人も多いのではなかろうか。
余談ではあるが、筆者は有り余る時間のせいでVtuberにどっぷりハマり、遂には自分で配信をし始めた。
将来どこまで振り返れる?
ここからが本題と言っても良い。
近い将来、このコロナ禍は必ず教科書に記載されるだろう。
『世界中でCOVID-19が蔓延し、世界経済は大きなダメージを受けた。ウイルスの撲滅には数年を要した』
こんな感じの文面で。
実際どれだけのページを割くかはわからないが、激動の1年半をすべて記載するのは難しいであろう。
そこで『ざつ旅』の出番。
マスクが必須になり、移動自粛のために都内のみで旅をする
出典:ざつ旅-That's Journey- 4巻
GOTOキャンペーンが東京にも適用、久々の県外旅行が許される。
出典:ざつ旅-That's Journey- 5巻
再び感染が拡大し、都内の徒歩旅行に逆戻り
出典:ざつ旅-That's Journey- 5巻
右往左往とした対策が取られた『旅行』という分野。
実録、且つリアルタイムで連載されているこの漫画。
コロナ禍を振り返るにはぴったりだと思う。
『例のアレ』
ざつ旅全編において『コロナウイルス』という呼称は使われていない。
冒頭にも書いたように、『例のアレ』ですべて通ってしまうから。
近い将来、『例のアレ』がコロナウイルスでなくなった時、この漫画を読んだらどう思うのだろう。
「アレ、あったなぁ…」と懐かしむのか、「アレって言われてもわかんねーよw」と笑うのか。
10年、20年後に次の世代が読んでもピンと来ないかもしれない。
その時はこう問いかけてやろう
例のアレ、何だと思う?