呼吸もできないほどに

るんるん気分で私に近づいてくる後輩、
もう夜の11時、ひっそりとした職場、昼間は大人数で仕事をしているせいか理性的な場所なのに、時間と人の少なさが理性の牙城を崩したのであろう、まるで、自宅かのように、後輩は声をかけて来た。
「残響ですか?」
私は、疲れたまぶたを隠すように目を見開き愛想よく答える。
後輩は私の調子を後目に、
「残業なんですねぇ!」そういえば誕生日来週でしたよね? と答える。
来てほしく無い誕生日、昔はあんなに嬉しかった1日だったのに、いつの間にか、責任がまた一つ増えるかのように嬉しく感じない、いや、虚しく感じてしまう自分がいた。
「そうだった誕生日だった!」私は答える
先輩誕生日何がほしいですか?何でもあげますよ?
何でもか!別にいらないよ‥

えーそれじゃつまんないなぁ。
そしたら今あげようかな!
そう言うと彼女はすかさず私の口元に、赤く塗られた唇を押し当てて来た。
「はい、プレゼント」
私は頭が真っ白になりながら、目線と意識があっていない世界へと飛んでいた。
「実は私、来週誕生日なんですよね。」
「先輩にプレゼントあげたので、私にもちゃんと返してくださいよ!暑いキス!息もできない程の」
 

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