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薬屋のひとりごとを考察する10海藻・オゴノリ

📖引用
「この海藻についてはもう話は料理人に聞いている。普段使っている海藻と同じ種類のもので、毒のはずがないと言っている」  
猫猫はそれには賛同する。同じ種類の海藻だ。  
でも違う点がある。
「同じ海藻なら毒がないというわけじゃないんですよ」  
猫猫は箸で、皿から海藻をつまみながら言った。
「もしかしたら、南ではあまりこの海藻を食べる習慣がないのではないでしょうか? 今回、美食家の役人の言葉で、金になると思った交易商がわざわざ地元民に海藻の塩漬けを作らせたとしたら?」
「……それのどこが問題になるのだ?」  
たずねたのは壬氏だった。今日は人前のためか、最近見せる妙に気が抜けた雰囲気はない。高順はともかく、近くにいる二人の官は、どこか居心地が悪そうに美貌の宦官を見ている。  
猫猫は楽しそうに箸を弄びながら言う。
「毒が無毒になることも世の中あります」  
その方法はさまざまだ。鰻は本来毒があるが血を抜いたり加熱することで食べられる。  
今回の海藻の場合、確か石灰に漬けることが必要だと猫猫は記憶している。  
そして、猫猫が二つに分けた皿には、石灰に漬けたものとそうでないものがある。今、箸でつまんでいるのは昨晩石灰を用意してもらって漬け込んだものだ。  

🎓考察
おそらくこの海藻は、オゴノリです。多数の分枝をもつひも状の海藻で,刺身のつまによく用いられるオゴノリ科の紅藻です。
海で採った本種を、生や軽く茹でて食べたことによって中毒を起こした事例も報告されています。原因は、新鮮なオゴノリの体に含まれる成分や付着した藻類が中毒を起こしたのはと考えられています。
市場で流通しているオゴノリは、アルカリ処理(石灰水に漬けるなどして、酵素の働きを失くす)されているため、中毒の心配なく食べることができます。海で見つけてもそのまま食べたりしないようにしてください。死亡事故も起きています。ご注意を。

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