第3回官能句会作品集~テーマ詠「香り」
「さっぽろ俳句倶楽部」にて、不定期開催中の「官能句会」。
過去2回の開催分については、下記の記事をご覧ください。
「俳句」という形式に「官能」というテーマが溶け合うかどうか……冒険の意味合いも込めて、毎回自由に楽しみながら句会をしています。
最初は、直截的なバレ句も多かったですが、回を重ねるごとに読み手の想像(妄想?)力を良い感じに喚起・刺激する句が増え、鑑賞の幅も広がっていると感じます。
今回は「香り」をテーマにした1句ほか、自由に1句ということで投句してもらいました。
高点句、注目句を挙げます。
さくさくと帰る背中や林檎喰む 昌秀
筆談の手に香りあり水蜜桃 優理子
金木犀二十歳の君の乳あはし 祐
薄荷噛む苦く正しい恋をした 遊子
真夜中のリップの匂ひラ・フランス 春陽
木犀の残り香絡めゆく小指 紀宣
月の雨湯浴みの肌の匂ひ立つ 昼顔
火遊びの部屋硬質の香を纏い 勲
果物の香り、秋ならではの木犀の香り、薄荷という官能の甘さとは違うベクトルの香り、湯浴みの肌の香り、「硬質の香」という実態が掴めない、でも何やら不穏なで魅惑的な香り……記憶を彩り、揺さぶる様々な香りがありました。
普段、情報を得るのは8割~9割が視覚に頼っていると思われますが、嗅覚を働かせ、そこに焦点を当てて表現された句に出会うと、読み手の嗅覚も働き始めます。普段は鍵が閉まっている脳の引き出しの奥に眠る「何か」が目を覚ますこともあるかもしれません。それは、とても贅沢な感覚体験。
「香り」縛りでない句にも、素敵な作品がありました。
全身に銀河を浴びし隠れ宿 正則
靴紐を結ぶ胸元初嵐 英利子
波打てばほら天国は十三夜 和弘
雨月呪へば鎖骨は背徳の香 美髯
官能作家ごろごろ零余子炊いてゐる すずめ
ひたむきな官能、思春期の性の目覚め、ファンタジックだったり、ちょっとおどろおどろしかったり。「官能」の場面ではなく、「官能作家」を登場させた句もあり、発想の豊かさに驚かされました。
普段は、真面目(?)な一般的なオンライン句会や吟行句会をしている「さっぽろ俳句倶楽部」ですが、半年に一回くらい、イベント的に「官能句会」を開催して、普段とは違うアンテナを立て、感性のスイッチを入れ直しています。
どなたでも参加自由ですので、気になる方はこちらからお問合せどうぞ。次回の夏雲システム活用の通常句会は12月開催の予定です。(Twitter @yurikoseto でも告知しています)
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