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間違いだらけの「作文教育」~書けないまま大人になった人への文章アドバイス

長男が小学生だった頃、宿題を見て、ガク然としました。

宿題は「読書感想文」。

教科書に載っている「ゆうづる」という作品で、内容は昔話で有名な「つるの恩返し」といっしょ。

もともと「書くのが苦手」な息子が四苦八苦して書いた10行にも満たない感想文は、まあ「悪い文章の見本」みたいなものでした(-_-;)

でも、息子を弁護するわけではありませんが、これって、当たり前です。

自身を振り返ってみて、学校教育の中できちんとした「書く教育」を受けた経験はありますか?

「思ったことを素直に書きなさい」
「しゃべるように書いてごらん」

よく言われることです。

でも、これを実践すると、大きな落とし穴にはまるのでご注意ください。

わが息子をヤリ玉に挙げて恐縮ですが、彼の文章の大きな問題点と思われたのは次の3つ。

・「~して、~で、~して、~しました。」と読点で文章をつなげていって読みにくい。改行もなし。
・感想文の大半が、あらすじをそのまま追っている。
・「悲しいと思いました」と感想はあるけれど、「なぜそう思ったのか?」がわからない。

こうした欠点は、子供の作文に限ったことではありません。

ブログやメールなどで見かける大人の文章の中にもあります。

たとえば……

・一文に内容を盛り込みすぎて長くて読みづらい
・パラグラフの概念がなく、話の展開に応じた改行がない
・販売ページやどこかで調べたことをコピペしたような
 よく見かける文章が延々と続く
・「言いたいこと」は書かれていても、その根拠が伝わらない

いかがでしょうか? 思い当たる点が、ありましたか?

これらを改善すると、劇的に読みやすい、伝わる文章になります。では、どうじたら良いか?


■「伝わる文章」へ5つの改善アドバイス

私は、息子に次のようにアドバイスしました。

・まず最初に「物語のどこが一番心に残ったか」を書く
・その次に「なぜなら」と、自分の気持ちの理由を書く
・いくつか書きたいことがあるなら、「もう一つは」「二つ目は」と続けていく。
・一文を短く。
・できるだけ、主語と述語を1セットで。

この5点です。

このポイントを意識して整えるだけで、見違えるように、「伝わる文章」にはなりました。(内容的には、まだまだ物足りなかったけれど)

「感想⇒理由」「結論⇒証明」

これは文章を書く順序、展開のさせ方の1つの「テンプレート」とも言えるもの。

小学生の作文であろうと、受験の小論文であろうと、就職試験の作文であろうと、ネットで書く文章であろうと、原則は同じです。

でも、こうした文章の書き方の原則を学校現場では教えてくれません。

「文章スキル」のないまま大人になってしまうから、いざ仕事の場面で「書く」必要に迫られると、とんでもなく困ってしまうのですね。


■「思ったことを素直に」「しゃべるように」書くデメリット

「自由に」「個性を大事に」「のびのびと」。

子どもたちやライティング初心者によく言われる言葉。もちろん、それを否定はしません。とても大事だとも思います。

ですが、それはしっかりとした「基礎」「土台」があってのこと。

「思ったことを素直に書く」は素敵なことです。日記に書いて誰にも見せない文章ならこれでOK。

でも、誰かに伝えるために書く文章だとしたら・・・

「素直さ+戦略や構成力」

が絶対必要です。

心に思い浮かぶことが、理路整然としている人なんていませんよね。

というか、いたら気持ち悪いです。

だからこそ、特に初心者のうちは、思い浮かんだこと、書きたいことを、
すべてメモに書き出して、それを「構成しなおす」くらいの手間が必要なのです。

「しゃべるように書く」

これも同じように、真に受けるとキケンな言葉です。

セミナーや講演会で話慣れている人ならともかく、一般の人のしゃべりは理路整然としていません。

セミナー講師の方にしても、壇上でしゃべる前にレジュメを作成して、事前にしっかり「構成」を練ってからしゃべっています。プロほど、そうした念入りな準備を欠かしません。「しゃべる」前に「書く」手間をかけているのです。

「しゃべるように書く」の本意は、

・「文章だから」と特別に肩の力を入れない
・誰かに話しかけるように、わかりやすい言葉を使う
・それがとっつきやすく、親しみやすい文章になる

ということ。

本当にしゃべるように書いたら、息子のように、「~して、~して」が永遠に続くような文章になりかねません。

同じことを言うにしても、話し言葉と書き言葉ではやはり違って、書き言葉は少し「かしこまる」必要があります。

「しゃべるように書く」は、あくまで「心構え」の問題としてとらえたほうが、誤解がないように思います。

学校での「書く教育」は、「個性重視」を謳うためか、「主観」や「主張」を重視することに傾きがち。

むろん、そこは大前提として、同時に「読者目線」「伝える意識」と「伝えるテクニック」を教えていくことが、「書けないオトナ」を増やさないために大事なのではないかと思うのです。

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