「の」「が」「を」の使い分け~助詞を替えると悪文がスッキリ改善!
文章を書くとき、とくに記事タイトルのような短いフレーズを考える際に、
「助詞に迷う」
ということはありませんか?
ライティング講座の受講生さんからいただいた質問に、こんなものがありました。
「私の良いと思うもの」「私が良いと思うもの」のように、「の」なのか「が」なのか?みたいに助詞の一文字に悩むことがあります。
このケース、あなたならどう書きますか?
まず、正解を言えば、
「文法的には、どちらで書いてもOK」
です。
「私の」というときの「の」は、主格を表す助詞として使われています。
「私が書いた記事」
「私の書いた記事」
どちらも文章を書いた主体は「私」ですから、意味的にも同じことを表しています。
なのに、使い方に迷うのはなぜか?
それは、おそらく、こうしたケースを想定しているからではないでしょうか?
「私が書いた記事が1日10万PVを獲得した」
「私の書いた記事が1日10万PVを獲得した」
上記の場合、前者では「が」が2回続いてしまい、文法的には間違いとは言い切れなくても、読んだ人に稚拙な印象を与えます。
後者のように、主格の「の」を使うことで、「私の書いた記事」がスムーズにひとかたまりとして認識でき、「主語・述語」の構造がわかりやすくなり、読者の頭にも入りやすい文となるのです。
「~が」「~は」は、主語を表す文節。国語の授業ではそのように習うくらいですし、実際、読むだけであれば、主語が判読できればどちらでも問題ないとも言えるでしょう。
ですが、「書く」立場となった場合、ほんの少し「助詞」に気を遣ってみると、読者に与える印象が変わってくることを知っておいて損はありません。
たとえば、冒頭の「私の良いと思うもの」と「私が良いと思うもの」を比較してみた場合。
・「聴覚上」は濁音である「が」よりも「の」のほうが柔らかく聞こえる。
・「私の」というよりも、「私が」というほうが、より「感情」がこもるニュアンスが出る。(ほかの誰でもない「私が」という意味合いが強まる)
という特徴があります。
後者は「を」を使った場合のケースと比較してみるとわかりやすいでしょう。
A「水が飲みたい」
B「水を飲みたい」
A「ピアノが弾けます」
B「ピアノを弾けます」
AとBを比較してみると、微妙なニュアンスの違いに気付くはずです。「水」や「ピアノ」以外の選択肢がある中で、「~が」と表現すると、「水」「ピアノ」を取り出して提示している感じが伝わってくるでしょう。
わかりやすく一文のみでの比較をしましたが、前後の文章があれば、さらにハッキリ使い分けされるのが「が」「を」なのです。
話し言葉や、SNSのようなくだけた文章では助詞が省かれることも多いので、普段は特別な意識を向けない人も多いかもしれません。
でも、助詞の効用をよく知って「意識的」に書き分けると、微妙な感情のひだを表現したり、表現の強弱をつけたて印象を強めたりすることができます。
とくに、記事タイトルや見出し、キャッチコピーなどの短いフレーズの中では「助詞」の使い方の違いで、大きく印象が異なってくることも多いので、意識して何を使うのか選んでいくと良いと思います。
最後に1つ練習問題を。
私の恋人の好きな服の色はピンクだ。
これは、一文に「の」が3つ連続して登場する悪文です。文が間延びして感じられますよね。文意を変えず、これを改善するには、どうしたら良いでしょうか?
ちょっと考えてみてくださいね。答えは1つとは限りません。
いかがですか?
では、答えを発表します。
【改善例】
(その1)恋人の好きな服の色はピンクだ。
※「私の」はなくても通じるので削除。
(その2)恋人はピンク色の服が好きだ。
※文意を変えずに、言い換え。
このように短い文章でも、いろいろな伝え方ができるのです。
私は俳句もやりますが、十七音と短い俳句でも「助詞」は奥が深い問題。的確かつ巧みに扱えるようになりたいなと思って日々向き合っています。
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