第2回さっぽろ俳句倶楽部「俳句コンテスト」~入賞作品一覧&選評
先日、開催した「さっぽろ俳句倶楽部」主催の「第2回俳句コンテスト」の結果が出揃いました。
5句連作でタイトルを付けて応募するスタイルの倶楽部内コンテストです。
5句という言語空間の中で、頭を悩ませつつも、ご自身なりの世界観をめいっぱい表現する体験を楽しんでもらえたらいいなという意図からの企画で、今年が2回目の開催となりました。
また、顕彰は私が選ぶ賞だけでなく、参加者全員での互選で選ぶ賞、いつも講座開催のサポートをしてくれるコワーキングSALOON札幌の店長emicoさんが選ぶ賞と、さまざまな視点から作品を鑑賞・評価し合うするスタイルを取っています。自分一人では到達できなかった「読み」や「俳句の可能性」を、参加者全員(主催側も含めて)で受け取りたいと考えたからです。
以上のような趣旨でエントリー作品を応募したところ、句歴の浅い方からウン十年のベテランまで、14作品が集まりました。「さっぽろ俳句倶楽部」と称していますが、部員は全国にいますので、応募者の地域もバラエティに富んでいます。
そのような中から、見事、入賞した作品を以下に掲載、ご紹介しますので、ぜひご一読ください。
最優秀作品「天狼賞」
「魔法の言葉」(中野千秋)
かわいいは魔法の言葉冬隣
音信の無きは良きこと秋の暮
そのゆるき顔の怖くて菊人形
ゆく秋の昔の玻璃の良き歪み
蜂蜜を舐めて眠ろう冬の夜
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入賞作品より
准賞
「雪をんな」(裕)
雪晴やたぷんと揺るる水枕
鋤焼きの玉子分けあふ四畳半
※互選最高得点「南天賞」として下記に5句掲載
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佳作(2作品)
「僕の細道」(一路)
白神の万緑我を呑み込めり
久々の実家の匂ひ合歓の花
「心象風景」(和弘)
フラスコに薔薇ゲシュタルト崩壊
月の海ざざっと裂けて鯨啼く
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審査員特別賞
「不可幸力」(シルマ☆)
飼い慣らす天使と悪魔猫の恋
落ち椿彼のこどもは宿せない
触れるときためらいながら夜の桃
十六夜優しい嘘をつく理由
風花やもう待つことはやめようか
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互選最高得点「南天賞」(2作品同率1位)
「音楽会」(山田すずめ)
遠山に龍眠るらし稲穂波
爽やかや指人形がジャンプして
さやさやと辞書をくりをる夜長かな
廃屋のピアノに秋の蚊の停まる
深秋や幟ゆらめく分譲地
「雪をんな」(祐)
雪晴やたぷんと揺るる水枕
湯上りの背を抱きしむ寒の月
快楽まで墜ちてゆこうか冬薔薇
鋤焼きの玉子分けあふ四畳半
赤信号ふと振り返る雪をんな
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互選3位
「不可幸力」(シルマ)
※「審査員特別賞」として上記に五句掲載
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推薦10句選(作品番号順)
音信の無きは良きこと秋の暮(「魔法の言葉」/中野千秋)
フラスコに薔薇ゲシュタルト崩壊(「心象風景」/和弘)
恋するをかき消せません大夕焼(「恋」/紀宣)
逃げているかもな流星見送りて(「ぷち休憩」/たか子)
落ち椿彼のこどもは宿せない(「不可幸力」/シルマ☆)
爽やかや指人形がジャンプして(「音楽会」/山田すずめ)
養育費負担消ゆるや成人式(「縁の糸」/正則)
かたかごの花や上京はすっぴん(「帰愁」/昼顔)
店終う黒服の肩にも小雪(「漂う」/月波)
雪晴やたぷんと揺るる水枕(「雪をんな」/祐)
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選評賞「六花賞」
ぽこぽこと珈琲淹れし月夜かな(「ぷち休憩」/たかこ)の鑑賞
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