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「あわゆき通信」第六号より5句鑑賞


俳句ネプリ「あわゆき通信」第六号、9月30日までプリントできます!詳細はこちらからどうぞ。1~5号のバックナンバーも期間限定公開中ですので、ぜひまとめ読みしてください。

というわけで、六号掲載作品から5句ピックアップして鑑賞を付したいと思います。(紙面掲載順)

水澄みて眉の綺麗に仕上がりぬ  村瀬ふみや

繊細な感性の光る句。「綺麗」という言葉は俳句の中では取扱い注意であるが、掲句においては季語の「水澄みて」と呼応して、「眉の形状、色合い」を読み手に想像させる抜群の働きをしていると感じる。秋の水や空気の透明感と眉の仕上がりの納得・満足感。この距離感が良い。

秋の風こけしはそっと手をしまう  酒井おかわり

こけしに意志があるような書き方が面白い。着物の袖からちょこんと出ていた手を、秋風の冷たさに反応してひっこめたのだろう。昨日までとは、ちょっと違うこけしの様子に気づく作者なのでありました。

稲光ネオトウキョーの瓦礫原  源

ネオは「新しい」「復活」の意味。これは近未来に起こる可能性大と言われている南海トラフ地震を想像しての景だろうか。稲光は不穏でもあり、新しい何かを生む予兆でもあり。瓦礫原からまた新たに始める。人間は、文明はいつだってそうして再起してきたのだから。

散骨のような旅です秋の蝶  八日きりん

「散骨のような旅」の比喩に惹かれる。散骨の対象は「死者の骨」ばかりとは限らない。何か成仏させたい思い出かもしれないし、新たな自分に生まれ変わるための区切りの旅なのかもとも。「秋の蝶」が、静かな想いの昇華を伝えます。

米を研ぐ母のリハビリ小鳥来る  正則

心象的な句があるかと思えば、こうした「実」の重みを伝える句があるのも頼もしい。ここまで、何度も何度も家族のために米を研いできた母。指先を鍛えることもあるのだろうけれど、病後の一番のリハビリは、自宅の台所で食事の時間に合わせて米を研ぐことなのだという視点が良く、「思う心」に泣ける。「小鳥来る」の季語も明るい兆しを感じさせてじんわりきます。


このほかにも、全24句を掲載していますので、ぜひお手に取ってご覧ください。


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