ワラウなぞなぞ
今年はこの本から始めてみた。
『考えの整頓 ベンチの足』 佐藤雅彦著
佐藤氏はNHK Eテレの『ピタゴラスイッチ』を世に送り出した、その人である。
どんな文章を書かれるのか、興味があって図書館から借りてきた。
この本、結構なアタリかもしれない。
とても読みやすい文章で、世の中へ向ける視点が秀逸。
今年最初の本に選んでよかった。ウレシイ。
その中で、施設に入るお母様とのやりとりが書かれた文があった。
ある時、お母様が脳梗塞を起こして、それ以降表情が失われてしまう。
そんな時、ふとなぞなぞを出してみたら、久しぶりに笑顔が戻ったという。
私は、その時、決心した。母親を笑わすことのできるなぞなぞを毎週作って持ってこようと。そして、笑わせて見せようと。(中略)
人間は何を持って、人間なのか。哲学的でもあり、答え方も沢山あるような無いような、そんな問いである。しかし、もうはっきり言ってしまおう。それは、「笑い」である。そのくらいの気持ちにさせる、母親の笑顔であった。
「笑う」ということは、本人だけでなく周囲にも幸せな気分を撒き散らす。
この文を読んで、ひとりの友人を思い出した。
彼女、結構ハードな状況に身を置いているのだけれど、いつも口角が上がっていてよく笑う人。
自分は結婚して一人息子もいるのだけれど、実家にいる家族達に毎月かなりの額を仕送りしている。彼女自身、とても健康とは言えない状況なのだけれど、それでもその仕送りの費用を出すために、仕事がやめられずにいる。
そんな状況なのに、実家の家族からはお礼も言われず、時には毒づかれたりすることも。よくそんな状況に我慢ができると思う。私ならさっさと縁を切って打ち捨てておく。
でも家族の事情なんて人それぞれだから、そんなことは言わないでおく。ただ話を聞くだけ。
それなのに、彼女にはそんな悲壮感は全くない。
身体は弱いけれど気持ちの強い人なのだ。そんな強さを支えているのが、「笑う」ことなんじゃ無いかと思う。
小さい頃から、ある意味鈍感にならざるを得ない状況の暮らしの中で、得た最強の手段が「笑うこと」だったのでは無いだろうか。
今年も彼女からの年賀状が来る。年末の休みに入ってから自分で印刷するので、来るのはいつも遅め。だからまだ来てない。
毎年、短めの近況報告があって、その文面からはとても笑える状況では無いことが伝わってくる。それでも彼女はきっと笑ってると思うと、ワタシもとても救われた気分になる。
しばらく逢えてないけれど、全然笑えない状況を一緒に笑い飛ばしたいなぁ、
って思った。
笑えるなぞなぞも考えちゃおうかな。できるかな。。