見出し画像

ウレシイ梨になった

昨日は急に人と会うことになった。
その人ときちんと話すのは8年ぶりくらい。

彼女はその当時通っていたヨガの先生。
ところが8年前のある日、あることがきっかけで通わなくなってしまった。

それが昨日、急に彼女から連絡がきて、時間があったので私からお茶に誘ってみたのだった。
そしたら二つ返事でOKが来た。

彼女の要件はメールのやり取りでも大丈夫そうだったのだけれど、久々に逢って話をしたくなった。
実は先月、8年ぶりに彼女のヨガにふらっと行ったのだけれど、その時はほとんど話せずじまいで帰ってきてしまったので、ずっと気になっていた。

待ち合わせ場所に着くと、先に彼女は来ていて、早速「実家からもらったものだけど」といって大きな梨をくれた。

色々な話をして、何となく8年前のことを話したくなった。

ちょうど8年前の今頃母が亡くなって、誰もいなくなった実家を妹と片付けていた。
そんな時、家の柿の木にたくさんの実がなっていた。
家を解体する時に邪魔だというので、まずは柿の木を切ると言われ、屋根に上がってあらかた収穫した。

山ほどあって食べきれないので、いろんなところへ配り歩いた。
そんな時、ちょうど彼女のヨガ教室があったので
「実家の柿の木をもう切ってしまうので、最後になるんですけどどうぞ」って、彼女に持って行った。

彼女ならその場にいる生徒さんにも上手に配ってくれるだろうから、とかなり大量に。
予想通り「もしよかったらどうぞ」って声をかけてくれて、もらってくれる人がいてよかった、とホッと安堵した。

ところが、なのだ。
その場にいたうちの数人が、あれよあれよと大量に柿を持って行ってしまう。
結局彼女に残ったのは2個だけだった。

ビックリした。
私が彼女にと渡したものを、そんな風に我が物顔で持っていってしまう人がいるとは思わなかったので。

その時に思ってしまった。
そんな人たちと同じ空間にいたくない。同じ部屋の中でその人たちが吐いた息を吸いたくない、と。
ヨガは呼吸が大事なので、そんなことに意識がいってしまったのだった。
そのまま彼女のヨガには行かなくなった。

いつのまにか8年も経っていた。

その時のことを、それとなく話してみた。

そしたら「あの実家の木を切るからって最後に持ってきてくれた柿よね」って、彼女は忘れていなかった。

「せっかく持ってきてくれたものを、あんな風にわけてしまって本当に悪いことをしたなって、ずっと気になっていたの」

そうだったんだ、ああ話してよかったって思った。

私はその人たちと同じ空気を吸いたくなくて、それからは参加できなくなった、と伝えた。

「そう、パッタリ来なくなったから、何かあったんだなって思ってた。」
さらに続ける。
「その人たちもその後すぐに来なくなったよ。自然と離れていった感じ。」
そして
「その時の柿のお礼してなかったから、それで梨持ってきたの」
8年越しのお返し。。すごく嬉しくなった。

彼女のヨガって、全然ハードじゃなくて、本当にゆるくて汗もかかない。
でもとても不思議で空気と一体化できる感覚がある。
公園で日の光を浴びながらやる太陽礼拝の時には、カマキリが手にのぼってきたり四葉のクローバーを見つけたりする。
先月にも見つけた四葉のクローバー。

前日の雨が残る草むらに見つけた

そして彼女のヨガを始めると、不思議なことに私の人生がどんどんシンプルになっていく。
だから、そうなりたくて先月急に思い立って行ったのだった。

また少しずつヨガを始めようと思ってる、そう彼女に伝えて別れた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?