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クラウドファンディングで770万の支援額を集めたトランプの"おまけ"がヤバすぎた件

先日、Makuakeというクラウドファンディングのサイトで、770万9900円という驚愕の支援額を集めた「トランプ」を知っていますか?

その名も「ストレートプレイングカード プレミアムエディション」

このトランプの良さは、上記の公式アカウントの情報や、Twitterでもたくさんの方々がレビューをしていますので、ぜひそちらを参照してみてください。

(というよりも、まだ僕のところには現品が届いていないので、まだレビューできません!届くのが待ち遠しいな!)


今回の記事は、このトランプについてではありません。このトランプを購入した時についてくる"おまけ"についてです。このトランプを買うと、あの有名なプロマジシャン、ふじいあきら氏によるカードマジックとテクニックの解説動画が無料でついてくる、というおまけです。

プロジェクトの終了後に、支援者向けにこの動画が公開されたので見てみたのですが…

やばすぎる。凄すぎる。正気の沙汰じゃない。

無料でついてくるおまけレベルをゆうに通り越して、「え、こっちが本丸じゃないの…?」と錯覚するレベルですごいです。もはやバランスブレイカーです。

RPGで例えると、ゲームスタート後に、勇者が自分の部屋で起き上がって、タンス開けてみたら最強武器入ってましたー、みたいな感じ。

結論先に言うと、これからマジック始めるぞって人は、この解説動画から学ぶべきです。初心者向けの解説は、書籍やDVD、最近ではYouTubeなどがありますが、それら全てを駆逐するレベルでオススメです。

それどころか、中級者・上級者の方も絶対に見るべきコンテンツになっています。


では、いったいなぜ、この解説動画はそんなにオススメなのかを解説していこうと思います。おそらく、いずれ一般向けに販売されると思いますし、まだ見ていないという方もいると思うので、そんな方々の参考になれば幸いです。

ちなみにここから先は、少しマジックの秘密について触れざるを得ない箇所が出てきます。それをご了承の上で読み進めてください。マジックを魔法のままにしておきたいという方は、ここでブラウザバックを推奨します。

よろしいでしょうか?それではいきましょう。


おまけとは思えない圧倒的ボリューム

おまけって聞くと、大体2個か3個ぐらい簡単なマジックを教えてくれるのかな?普通は思いますよね?

なんとこのおまけでは、11個の本格的カードマジックを解説しています。もっと細かく言えば、マジックの実演映像11本、その解説動画が11本、カードの扱い方などの基本技法解説が10本、マジックに関する技法が6本、さらにボーナストリックが1本、計39本の動画で構成されています。

凄すぎる…。ボリューム満点です。

Twitterでちらほらと感想が出始めていますが、このものすごいコンテンツ量に驚きの声をあげている方が多いです。何度も言いますが、この内容量で「おまけ」です。


実際11個もレパートリーがあれば、もう立派なマジシャンです。しかも子ども騙しのようなマジックではなく、本格的なカードマジックですし、さらにその上、一つ一つが丁寧に解説されているので、しっかりとウケが取れるようになっています。

このボリュームでありながら、どれも高品質というのは、本当に素晴らしいです。


ですが、初心者にオススメである本当の理由は、ボリュームではないのです。このコンテンツは、本当に「初心者のために作られている」という理由があるんです。


初心者が挫折する「あの技法」を極力使わない

11個のマジックが解説されていると言いましたが、このほとんどが難しい指先のテクニックを必要としないアプローチで作られています。要領のいい方でしたら、1週間足らずで、この11個のマジックを習得できるのではないでしょうか。それぐらい簡単です。

実はこれにはある理由があります。この解説では「トップコントロール」「ゲットレディ」「ダブルリフト」のような手先のテクニックを極力使わないようにマジックが構築されています。

これらはカードマジックをする上で避けては通れない重要技法です。全カードマジックの8割ぐらいでこれを使うと言っても過言じゃないぐらいです。

なんですが、めちゃくちゃ使う割に、そこそこ難しいです。初心者に立ちはだかる最初の壁がこういった手先のテクニックになります。人気の高いカードマジックをしようと思おうと、難しすぎてできずに挫折してしまうというケースが非常多いです。


この解説コンテンツでは、最初はほぼ手順の通りにカードを配ったり置いたりすればできるようなマジックが並んでいます。さらに従来では難しいテクニックを用いるマジックも、それを使わなくてもできる構成になっています。

例えば、エレベーターカードというマジックでは、従来用いられるゲットレディやシークレットアディションというテクニックを使わずに、カードを事前に湾曲させることによってできるナチュラルブレイクを用いることによって、難易度を大きく下げることに成功しています。

マジックは覚える順番を間違えると「初見プレイでベリーハード」みたいなことが起きて、挫折するリスクが高まってしまいます。こういったあたりが、まさに初心者のために作られているなあと、非常に感銘を受けました。


ここまで「初心者」という視点でレビューをしてきました。そうすると「じゃあ、俺はダブルリフトとかクラシックパスできるから別にいいや」みたいなことを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

ところがどっこい、このコンテンツ。中級者や上級者の方こそ見るべきというポイントがあるんです。


たかが基礎技法、されど基礎技法

僕は職業柄、マジックを学生さんや一般の方にコーチングする仕事もしているので、初心者へマジックを教える難しさをかなり痛感しています。

何か物事を教える時は、自分の中で言語化できていないと、うまく伝えることができません。「こうやったらできるよ」みたいなものはレクチャーとは言えませんよね。

特にマジックというものは、なんとなく雰囲気でとか、練習してたらいつの間にかできていたみたいなものもあるので、それの言語化は思ってる以上に難しいものです。


そんな僕が一番最初に衝撃を受けたのが、リボンスプレッドの解説でした。初心者のかたがこれをしようとすると、どうしても均一に広げるのが最初は難しいです。

広げる際に人差し指で上から均等にプレッシャーをかけながら行うと、均一に広がるのですが、この力加減が結構難しい。いわゆる感覚なので、適切な力加減を伝えるのは意外と難しいです。

ですが、ここで解説されているその力加減の仕方が、ほんの少しの工夫で一発解決しています。15年くらいマジックをやっていますが、マジで初めて知りました。

試しに、マジックが全くできない友人にそのやり方を試してもらったら、なんと一発でできてしまいました。このやり方、もっと早く知りたかった…笑


もう一つ印象的だったのが、グライドの解説でした。正直、僕はグライドがあんまり得意ではありませんでした。ずらすのがなかなかスムーズに行えなかったのと、「使用頻度高い技法でもないし、ダブルリフトの下位互換でしょ」って思ってる節があったので、そんなに練習していませんでした。

ですが、今回のグライドの解説で、目からウロコのやり方が入っており、その方法でやってみたところ、びっくりするぐらいスムーズに行えるようになったんです。

僕のグライドに関する価値観は、見事にひっくり返りました。天動説を信じてた人が本当は地動説が正しいと知った時並の衝撃です。

以前、学生マジシャンから「カルが上手くできない」という相談を受けた時に、カードを広げるときの持ち方が少し違くて(左手小指がデック下部に添えられておらず、カードを広げたときに安定していなかった)、上手くできていなかった、ということがありました。

このグライドの解説を見ると、その時のことを思い出します。よく考えると、基礎技法をきちんと突き詰めて学んだ人って案外少ないかもしれません。


この解説コンテンツは、中級者や上級者の方も、あなたのカードマジックに対する常識をいい意味で壊してくれる良質なコンテンツです。また、未経験者や初心者の方にマジックを教える立場にいる人にとっても、いい教材になっています。これを参考にすると、自分のレクチャーの質が上がるかもしれません。


今から重箱の隅をつつきます

今まで大絶賛の嵐でお送りさせていただきました。この段階で既に3500字というボリュームになっています。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

ここである懸念を感じてしまいました。もしかしたら、ずっとベタ褒めしているから、サクラなんじゃないか疑惑とか抱かれていたらどうしようと。

改めてお伝えしますが、自分の価値観や経験を通しての本音レビューでございます。本当に良いコンテンツでした。正直な話、初心者向けの解説コンテンツを自分でも色々作ろうと思って色々動いていましたが、完全に心折られるレベルなくらい高品質でした。笑

ですが、気になる点も少しあったにはあったので、そちらについても触れていこうかなと考えています。

ただ、タイトルにもあるとおり、重箱の隅をつつくレベルの気になる点(僕にとって)です。この点があったとしても、気にならない人は気にならないと思います。ただ、さくら疑惑払拭と今後のためにということで、僭越ながら述べさせていただこうと思います。


クレジットについて

Twitterで指摘している方もいらっしゃいましたが、それぞれの作品のクレジットがない、ということが気になる方もいらっしゃるかもしれないなあと感じました。

僕がマジケ2021春の時に解説動画を出展した時にも、クレジットが不十分だったことで悪い評価を受けたこともありましたし、クレジット問題はよくTwitterマジック界隈の火種になることもあるので、それを気にする方はいらっしゃるかなあと思いました。

ちなみにこれについては、公式さんが回答を既に出しています。

確かにあれだけのボリュームのクレジットを調べようと思うと、クラファンのスケジュール的にもかなり厳しいものがあるなっていうのは容易に想像がつきます。

グライドのところで触れた方法論に関しては、解説の中で出自について触れていますし、古典中の古典であって今更「誰々のパクリだ」というものでもないので僕は別に良いかなと思ってます。

(Twitterで指摘されていた方の「考案者に敬意を払うことは、マジックに対する愛着を育てる上で大事だと思うので、クレジットがあるとなお良かった」というコメントについては僕も同意です)

気になる人やそれを批判材料にする人はいるかもなとは思ったので触れさせていただきました。


全体的に良いが故に気になる点

前半部分を読んでいただいた方なら、このコンテンツがいかに素晴らしいものであるかはきっと伝わっているでしょう。ただ、良すぎるが故にちょっと気になってしまった部分がありました。

それがファンの解説、特に片手ファンの部分です。ここだけ抽象的な表現が多かったなと感じました。

初心者の方は、片手ファンをするときに、ほぼ必ずと言っていいほど、綺麗な扇形に開けず、直線的なファンの形になります。

画像1

直線的な片手ファン

画像2

綺麗な扇形の片手ファン

一応、解説の中で「親指と中指薬指の動かし方が大事」とは伝えているのですが、初心者が必ず片手ファンでぶち当たる壁なので、もう少し掘り下げて解説しても良かったかなと感じました。


ただ、この部分の言語化ってかなり難しいですし、僕自身もその大変さはすごく痛感してきています。初心者にとって必須技法かと言われると、そういうわけでもないですし、中で解説されているマジックでファンが必要不可欠なものはないので、全然許容範囲かなと思います。

もっと言えば、他のマジックの解説は、初心者がやりがちなダブルリフトのミスを解消する方法だったり、クロスカットフォースの解説する前の注意事項など、かなり細かいところまで解説をされています。

こういった様々な点を踏まえれば、本当に些細な指摘点です。真っ白なシャツだとちょっとした汚れが気になる的な印象です。他が良すぎるがあまりの気になった点でした。


史上最高のマジック教材の一つ

いかがでしたでしょうか。この教材は、マジシャンが一度は見るべきレクチャーコンテンツと言っても過言ではありません。初心者の方がマジックを学ぶのであれば、まず間違いなくオススメできるでしょう。

忘れてはならないのが、これはおまけのコンテンツだということです。トランプを買ったらついてくるおまけです。もはや、どっちがメイン商品なのかわかりません。笑

今後の一般販売でも購入すれば、この解説動画はついてくるようです。

クラウドファンディングで買ってなかったーという方、カードマジック始めてみようかなあと思っている方、改めて自分の基礎技法を見直してみようと思った方、レクチャー業をされている方、マジックに関わる全ての方、ぜひこちらの商品を買ってみてください。

もはやトランプ目当てではなく、この解説動画欲しさに買うのも全然ありです。もちろん、カードも最高品質とのことで、購入者の方も高評価の嵐です。(早く触りたい!笑)

こちらが公式サイトになっていて、一般購入が始まればこちらからお買い求めできると思うので、ぜひチェックしてみてください。


また、僕のTwitterでは、マジックの楽しさやマジックをする上でのためになる情報を毎日発信しています。またプレゼント企画やオンラインコンテストなど、様々な企画も行っています。

ちなみに2021年8月15日からは、賞金付きのコンテスト企画も開催する予定です。ぜひ僕のTwitterもフォローしていただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。それではまたお会いしましょう。


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