「基礎」について考えていたら哲学になった話
思いっきり夜更かししたら、生活リズムが狂いまくって、モチベがグングン下がってしまってます。どうも、狼でマジシャンの月乃輪ウルフです。
誰かのYouTubeで見たんですが、モチベーションを上げるとか下げるの概念があると、継続的な行動が難しくなるらしいです。「今日はモチベ高いから頑張ろう!」「今日はやる気出ないからパス」みたいに、モチベを原動力に行動をしてしまうと、気分に左右されて、仕事効率が悪くなるようです。そうではなく。ロボットのように無機質に、ただ自分の課題に黙々と取り組むのができる人の仕事術らしいです。
「なるほど納得!」そう思ってもなかなかそうは動けない狼です。一生寝てたい。
まあ、行動するのはだるいですが、思考することは好きなようで、ここ最近とあることを考えてました。一部Twitterマジック界隈で「基礎技法は何か?」「ダブルリフトは基礎技法なのか?」という議論をするのが最近の流行りのようです。僕も色々と考えてみたので、ここに自分の意見をつらつらと書いていこうと思います。
あなたが思うマジックの基礎技法はなんですか?
ちなみに、あくまでこれは僕の意見で、強要するつもりも全くありませんし、むしろこういう概念的なトークテーマに確固とした正解はないと思ってる勢ですので、「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな」ぐらいの感じで見ていってください。
基礎を辞書で調べてみたら余計にわかんなくなった
基礎技法は何か?DL(ダブルリフト)は基礎技法なのか?我々はその真相を突き止めるべく、アマゾンの奥地(ネット辞書)へと向かった…。
weblio辞書によると…
1 ある物事を成り立たせる、大もとの部分。もとい。「基礎がしっかりしているから、上達が早い」「基礎を固める」「基礎知識」
2 建造物の荷重を支持し、地盤に伝える最下部の構造物。地形(じぎょう)・土台など。
太字の部分が今回の議論になってる部分かなと思いました。つまり、マジックの基礎技法とは「マジックを成り立たせる大もとの部分」と言えます。なるほどなるほど。じゃあ、ダブルリフトは基礎なのか基礎じゃないのかを考えてみました。皆さんもちょっと考えてみてください。
…あれ、どっちなんだろう。確かにカードマジックは、DLを使うマジックはたくさん出てきます。でも、ダブルリフトがなくてもできるマジックはたくさんある…。ん、一体どっちなんだ?我々は「基礎技法の迷宮」に翻弄されてしまったのである。
マジックじゃなく、サッカーで考えてみた
ちょっと行き詰まったので、別の角度から見てみましょう。例えば、サッカーの基礎技法で考えてみたらどうでしょうか?
まずはドリブルについて考えてみます。これは基礎技法でしょう。ドリブルがないと、前にボールを運べませんから。同じような理由でパスもそうでしょう。シュートはどうでしょうか?これも基礎でしょう。ドリブルやパスだけでは、得点するのは難しいですし。
では、ヒールリフトはどうでしょうか?サッカーが詳しくない方のために説明すると、ディフェンスとの駆け引きで、ボールを足に挟んで、相手ディフェンスの頭上にボールを蹴り上げて、真後ろに落とすテクニックです。参考動画も出しておきます。
これは基礎でしょうか?おそらくですけど、これは基礎ではない気がします。なくてもサッカーできるので。他にも股抜きパスとかオーバーヘッドキックとかも基礎ではないって感覚はありますよね。
サッカーの基礎技法は結構すんなりわかりました。では、ことマジックになると、わからなくなるのはどうしてなんでしょうか?
「マジック」という言葉の概念はめちゃくちゃ広い
ひとえにマジックと言っても、いろんな種類があります。カードマジック、コインマジック、メンタルマジック…etc
そして、カードマジック一つをとっても、まだまだ分類分けできます。セルワーキング、スライハンド、パケットトリック、サロンマジック…etc
そしてこう感じました。どこを土台にするかで、基礎とするかどうかは変わってしまうのでは?と。
例えば、ステージマジックをメインにしてる人からすれば、ダブルリフトは基礎というイメージはないかもしれません。逆に、スライハンド(テクニック)方面に行きたい人にとっては、ダブルリフトは基礎中の基礎でしょ、という感じになるかもしれません。
Twitterで呟いている人の中には、難易度を基礎かどうかの判別に使っている人もいました。おそらくこれも「テクニックなんて無くてもセルフワーキングとかあるから、基礎というよりかは一歩先の感じあるよね」というロジックになるのも理解できます。
また、Twitterでの発言を見ていて「こんな傾向があるかも」とも思いました。それはマジックを体系的に学んできている人は基礎派の人が多いかなと思いました。
書籍やDVDなど、従来の流れで学んできている人は、もちろん初期の段階でダブルリフトという関門を通っています。イメージ的にも、基礎とは最初に学ぶものなので、DLは基礎技法だ、ということになるのは、火を見るより明らかです。
ですが最近では、高レベルで多種多様な情報を、書籍やDVD、またはネットから学ぶことができる時代です。つまり、昔だとディーリングポジションからスプレッドの開き方、そしてカットコントロールを覚えて、次にダブルリフトを覚えて…という”ある程度の順番”がありました。
ですが昨今では「このテクニック(マジック)をやりたい!」から容易にスタートできる時代になりました。その結果、トップショットを覚えて、次はカラーチェンジ数種を覚えて、次はクラシックパスにDPS…というような流れができていきました。
ここから推察するに、ルーティン史上主義から、テクニック至上主義へと変化していったのではないでしょうか。このマジックのルーティンをやりたい(アンビシャスやラストトリックなど)人からすれば、DLは必ず通る道なので基礎技法となり、
このテクニックをやりたいという人からすれば、DLは独立したテクニックの一つなので、基礎技法とは言えない、というのもあるかなあと感じました。
そう考えると、時代が変われば基礎は変わっていくのかなと思います。一つそれの代表的な例をあげましょう。
「SICK以前の基礎技法」と「SICK以降の基礎技法」
今から11年前に『SICK』というコインマジックのDVDが発売されました。当時、ワンダラーを使ったコインマジックのDVDは本当に少なく、世界中のマジシャンに衝撃を与えました。そこから一気にワンダラー需要が高まっていきます。
そして、ワンダラーのテクニックは『SICK』をベースに作られていきます。先日あるマジシャンと話していた時「コインマンの間ではSICKがもう基礎技法になっちゃってますからねえ」と言っていたのが印象的でした。
自分もワンダラーでのコインマジックを嗜みますが、確かにSICKがベースになっているなあと感じました。
これを見た人の中で「SICKが基礎とかあたおかか!?」と思った人も、もしかしたらいるかもしれません。ですが、ここで言いたいのは、『SICK』が基礎かどうかではありません。マジックにおいての基礎は、時代とともに、そして、人によって変わるのではないか、と僕は思います。
あなたにとっての「基礎技法」とは?
今回は、巷で話題になっている基礎技法について書いていきました。
もう一度、辞書の言葉を引用します。
1 ある物事を成り立たせる、大もとの部分。もとい。「基礎がしっかりしているから、上達が早い」「基礎を固める」「基礎知識」
2 建造物の荷重を支持し、地盤に伝える最下部の構造物。地形(じぎょう)・土台など。
今まで書いてきたことを鑑みてみてみると、その人が思う基礎技法を知ることは、その人を形成する大もとの部分、土台を知ることにも繋がるのかなと思いました。
それでは再び聞きましょう。
あなたが思うマジックの基礎技法はなんですか?
月乃輪ウルフ
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