情報過多による情報不足の時代〜質問企画を通して見えてきたこと〜
ネットに先日、Twitterの方で質問企画を行いました。マジックに関することで、悩んでいることやわからないことを聞いてくれたらお答えします、という企画です。
結果、33人の方からご質問を頂きました。送ってくださった方々、本当にありがとうございます。
その質問を分析してみると、面白いものが見えてきました。質問をしてくれた方々はおそらく若い世代のかたが多かったと思うのですが、今、マジックをしている若い方々の現状というのが少し透けてきたので、ちょっとここで考察してみようと思います。
〇〇の種を教えてください
まあ、質問企画をやる上で、この質問は多いだろうなあとは思ってました。
僕はこの質問が来るのは、もうそういう時代なんだろうなあと思っているので、別に否定的な感情は持っていません。マジックに限らず、調べればなんでも出てくる時代ですので、それを受け入れて前に進むか、断固拒否して行動をしていくか、とりあえず様子見か、の3択しかないと思っています。
談ですが、高校や大学のマジックサークルにお邪魔したときに必ず聞く質問があって、「ぶっちゃけ正直なところ、なにでマジックのやり方を学んでますか?」って聞いてきました。
受け入れ難い人には受け入れ難いかもしれませんが、大体8割がYouTuberから学ぶようです。残り2割ですらメインがDVDや本でたまにYoutuber、絶対にYouTuberを見ないという人は数える程度という感じです。
いつか日本全国のマジシャンにアンケートをとってみたいですね。年代別とかで分けたら、結構面白いデータ出そうです。
まあ、そんな状態ですから、この質問が来るのも僕にとっては至って普通です。笑
ですので、上記のような返答をしていました。買うのが一番です。買わないのなら調べましょう。マジックに限らず、リサーチの仕方を知れば大抵の情報は手に入ります。インターネットすごい。お金をそこに投資できないのであれば、いっぱい勉強しましょう。
という僕も勉強中なんですけどね、一緒に頑張りましょう。笑
ストリート • ホッピング関連の質問
実は一番多かったのがこの系統です。集客の仕方やルーティンの組み方、チップのもらい方など、より実践的な内容に関する質問です。
これに答えようとすると、めちゃくちゃ長文になってしまう…。質問送ってくれたかた、超長文になってしまってすみませんでした。添削能力身につけます。
実際この手の疑問って、プロマジシャンとして活動しよう、もう少し言えば「マジックでお金を稼ぎたい」って思ったときに必ず通る道なんですよね。
例えば、よっしゃストリートやるぞ!って思っても、必要なものってなんだろうとか、警察きたらどうしようとか、やる前の不安要素がめちゃくちゃ多いです。それでいざやってみたら、マジックを見てくれない、チップの貰い方がわからない、とかやってみて気づくこともたくさんあります。
それでこういった多くのことって、調べてもよくわからないんですよね。
正確にいうと、あるにはあるんです。ただ、情報が無限にありすぎて打ちのめされちゃうんですよね。どれが正しくて、どれが間違っているかもわからない。そもそもなんて調べればいいかわからない。出てきてもなんかジャストミートしない。
ってなっちゃうんですよね。
自分自身もめっちゃ悩みました。そこで優しく教えてくださる先輩方がいて、僕は助けられました。そうしてマジックの経験を積んでいく中で、自分自身で気づくことや構築されていく経験則もできていきました。
ですので、こういった知識をこれから活動していく方のためになればと思って、共有をさせていただきました。参考になれば幸いです。
情報過多による情報不足
他にもたくさんの種類のご質問をいただきました。自分で知らない分野のご質問もあり、調べたり勉強してお答えしたご質問もありました。
こういった質問を見ていくと、あることを感じました。
それが二つ目のところでも触れた、情報が多すぎてどれを選択すればわからない、ということです。
ネットにはたくさんの情報が溢れています。ですので、検索ワードを吟味しないと、自分の知りたいことが出てこなかったり、間違った情報を仕入れてしまう場合もあります。
さらにネットの情報は、発信側の一方的な情報提供ですので、検索した側に上手く当てはまらない場合もあります。例えば今回の質問企画でも、「ストリートマジックで稼ぎたい、でも色んな人から「集客すると迷惑になる」と聞きました、どうすればいいでしょうか?」といった質問も多かったです。
ストリートマジックの集客方法は、大きく分けると2種類あって「稼げるけど迷惑になりやすく気を遣う集客」と「細々とやって収益も上がりづらいけど、あまり迷惑になりづらい」方法があります。
この両者のアドバイスは、全然違うものになりますが、どちらも同じ集客方法です。なので、「稼ぐ」か「迷惑にならない」のどちらかを選択することになりますが、この両者を比べて説明する人ってあまりいません。でも二つの意見は存在します。
そうなると、どっちつかずになって、あまり効果的にパフォーマンスができなくなるパターンもあります。
マジックの種の情報はたくさんあるけど…
またマジックの種に関するものや、一つの技法にフォーカスを当てたきめ細かい解説は、結構世に出回っています。ですが、どうやってルーティンを構築するかであったり、ウケるための方法論だったり、またプロマジシャンとして活動していくためのノウハウとかは、あまり見つけられません。
実はこれもあるにはあるのですが、マジックの種や技法に関する情報が多すぎて、そこに目が向きにくく、それらの情報によってかなり目立ちにくくなっています。
食べ物に例えたとき、素材は豊富にあるんですが、調理法は普及していない、といった感じでしょうか。最近、僕はラーメンを作るYouTuberにハマってるんです。それを見ていると、ラーメンの作り方ってこんなに奥深いのかと、いつも驚いてしまいます。
ラーメンになんの食材が使われているかは知っていますが、それをどう調理していくのかはあまり知りませんよね?でも、ラーメンという料理はよく知っています。
マジックも似ていませんかね?それぞれに使われてるマジックや技法は知っている。マジックショーもたくさん見てきた。でもなんでそのラインナップなのか、どうしてそのマジックをチョイスするのかは、あまり深く考えないかもしれません。
一部分の情報が多くなるが故に、他の情報を取り入れづらくなっていく、これも情報過多による情報不足とも言えるかもしれません。
教科書が変わりつつある
Twitterを見ていると「こんな情報も知らないのかよ」というツイートもちらほら見かけます。確かに20代より上の方々が学んできたマジックの教科書と言えるものは、書籍であり、本であり、メディアや自分の目を通して見る数々のマジシャン達でした。
あんなに素晴らしい演技動画を見てもいないのかよって思うのも気持ちはよくわかります。
でも、これからの時代の子達にとっての教科書は、YouTuberになっていきそうです。(というかもうなってる)DVDや書籍は、より深く学びたい人の課金コンテンツ的要素になっています。無課金勢も大量に増えていくでしょう。
知っていますか?「いいくに作ろう鎌倉幕府」の語呂で有名な鎌倉幕府成立の年が、今の教科書では1192年ではなく1185年になっていることを。しかも1180年って説もあることも。
「十七条の憲法」で有名な聖徳太子が「厩戸王(聖徳太子)」って表記されていることを。(うまやどのおうって読みます)
私たちが学んできた歴史の教科書ですら、どんどん変わってきています。時代はどんどん移ろいでいくのです。
なのでこれからの時代、マジック業界も、見ているもの、学んできたものが違う人たちが存在する世界にどんどんなります。僕は5年後、10年後がどうなっているのかすごく楽しみです。新勢力を排他するのか、それとも今までの価値観が駆逐されるのか、はたまたどちらも共存できる世界になっていくのか。
どのような世界になったとしても、「マジックが楽しい」ということには変わらないと僕は確信しています。これからもマジックの楽しさをたくさんの人に伝えていこうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
P.S.
初心者向けのコインマジック解説動画、今月中に公開できそうです。かなり格安のお値段で提供する予定です。コインマジックを始めたい人や、コインマジックを教えることになりそうな人には必見の教材になります。
また7月下旬には、「第3回Wolf Magic Contest」の告知も行いますので、ぜひそちらも楽しみにお待ちください。どんなコンテストかについては過去に開催した時のツイートをご覧ください。
改めまして、最後まで読んでいただきありがとうございました。あなたのような方がいるので僕も情報発信できています。本当に感謝です。これからもどうぞよろしくお願いします。
月乃輪ウルフ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?