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【roots2】 《22章》代償・2


緑が残る枝を出来るだけ大きく持ち帰る事にした。ルビーは持っていたピンク色のハンカチをサイラスに結んで「また来るわね」と言った。
自分のせいでサイラスを失ってしまった事でデイブは茫然と倒れた木の根をただ眺めていた。
「デイブ!早くて帰ってサイラスを植えましょう」とルビーに声を掛けられ「あぁ、」と立ち上がった。「家の真ん中の庭に植えましょう」
ルビーが腕を引っ張って半ば無理矢理引きずられるように家に向かった。

家に着くと大きなバケツに切り口をひたした。
「こうしておくと早くに馴染むのよ」とデイブに話しかけるも、デイブはサイラスの枝をただジッと眺めて返事をしない。
「サイラスを育てるなんて、デイブにしか出来ない仕事なのよ。」ルビーがバン!と背中を叩いた。デイブはうなだれている。
「恩返しになるんじゃない?またサイラスに会える日を楽しみに出来ない?」
「そうか…また会えるんだ…」
「一緒にいられるなんて、喜ばなくちゃ」
「そう…だね。家にサイラスがいるなんて…すごいや」
「1時間浸けたら植えましょう」
デイブの気持ちがちゃんと前を向いたと感じてルビーは席を外した。
サイラスを失った事を受け止めるには1人で考える時間が必要だった。

デイブは庭の真ん中をスコップで掘りだした。
ディランがやって来て「どうした?何か植えるのか?」と隣にしゃがんで聞いた。
「サイラスを…挿木にするんだ」
「サイラスに会ってきたのか?」
「うん…」デイブの様子に気がついて
「どうかしたのか?」と聞いた。
デイブは自分に聞かせるように、スコップを持つ手を止めて口にした。
「サイラスが…全てを僕のために捧げてくれて…根本から倒れて…」
ディランは驚きを飲み込んで
「サイラスがわかっていて自分から選んでそうした事だ」と言った。「うん。ありがたくて…たまらないよ」
下を向き続けるデイブに「毎日話しかけたら良い。植物は良く育つ」とアドバイスをくれた。
「そうなんだ…そうする」
デイブが顔を上げてバケツの中のサイラスを眺めた。

ルビーがパタパタとやって来た。
「植えましょうか?」
「うん。サイラス、ここが気にいるかなぁ」
デイブは柔らかくした土にサイラスを挿して水をあげた。

窓に腰掛けてまだ若いサイラスを眺めた。
小さなサイラスは話すことは出来ない。
風に葉を揺らし雄大な姿をしていたサイラスを思い出すと自分の無力さを恥じるばかりだった。
自分が生き抜くことに必死で。
チェイスとの戦いに冷静さを欠いて。
大切なサイラスを失った。
1000年…デイブたちと一緒に生き抜いて来たサイラス。出会えたのは偶然じゃない。
もっと側にいたかった。色々教えて欲しかった。
使命…サイラスが最後にそう言った。
1000年…。
デイブがわかったのは、自分と滝の水が繋がっていて自然界の源になっている事それだけ。
チェイスはそれが欲しかったのか?
デイブの中に強く芽生えた感情。
「この謎を解きたい」

チェイスは消えた。サイラスのおかげで僕を渡さないで済んだ。

ここからは、違う毎日がやって来る。
もうチェイスに煩わされる事がない。

デイブはサイラスの側にしゃがむと葉を両手のひらで包んで「また明日ね」と話しかけた。
小さな光の輪がふわふわと浮かんで見えた。

to be continue…
*******

デイブとサイラスとの結びつきは、父母のような神様のような。そんな関係です🍀大切な人を亡くすって…辛いけど何かを学びたい。
皆さんも側にいる人を大切にね🍀


毎週水曜日更新📙✨

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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