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【roots2】 《23章》新しい目標・2


テクテクと階段を三階まで上がるとオーウェンが「デイブ!ちょっと寄って!」と声を掛けた。
「ん?どうした?」
「コラムだけどさ、途中になってて。場所は空けてあるからいつでも書いてよ」
オーウェンからの思いがけない誘いに驚いた。とっくに無くなった話だと思っていたから。
「まだ待っててくれてるの?」
「もちろん」オーウェンはニッコリ笑った。
「ありがたいけど…何を書こうかな。今さ畑を…丘の家に畑を整えてオスカーを呼び戻したいって考えてて。洒落た事は何も書けそうもないんだ」
デイブは正直に自信の無さを話した。
なのに
「それはいい!!楽しみだな。そんな毎日をコラムにしたら?自然体でさ」とオーウェンはノリノリで応えてくれた。
「ありがとう。じゃあ、まずは書いてみるから。オーウェンが決めてよ」
嬉しくて気持ちに応えたくてやってみると前向きに受け取った。
「わかった。待ってる」とオーウェンは微笑んだ。
「オスカーには?」
「今日手紙を出すよ」
「あいつ喜ぶぞ!絶対泣く!」とオーウェンは大きな声で笑った。

*****
あれからオスカーはオースティンの明るさに救われてシャーロットと共にアリソンの元で腕を磨いていた。
パスタのメニューの他にもレモネードなと果物を育てる事にも熱心に参加して技術も知識も豊富になっていた。
父さんたちを迎えられるようにと、お金も貯めて一心に働いていた。

デイブとルビーから久しぶりに手紙が来た。
何かあったのでは?と3人封筒をみて胸がドキドキと苦しくなった。
オスカーが意を決して封を開け、テーブルに広げて3人で同時に読んだ。

詳しくは書いていなかったけれど、チェイスが消滅したのでもう心配いらない事。デイブの丘の家に畑を整えておくから必ず帰って来て。と書いてあった。

オスカーは熱くなった目に手を当てて「父さん…」と呟いた。
「こちらに呼ぼうと思っていたのに。なんて素晴らしいお誘いなの?」とシャーロットが弾んだ声で言った。オスカーもオースティンもその声に嬉しそうにうなづいた。
「チェイスが消滅って…何かあったんだよな」オースティンが言うと
「きっと、書けないような事があったに決まってるよ」とオスカーが答えた。
「少しでも早く帰ろうか?」オースティンがオスカーの気持ちを汲んで言うと「アリソンと話してからにするよ」とオスカー。世話になっていながら、事情を全く話してこなかった。この恩をきちんと返してからにしたい。
「まかせるよ」オースティンが言うとシャーロットが体中から溢れるような笑顔を見せた。
「笑顔がうれしいな」とオスカーが手を取ってぽんぽんと軽く叩いた。
ますます微笑むシャーロットに、
ここでの暮らしで得た絆をありがたいと強く感じた。

その夜、オスカーは布団に入るとこの数ヶ月を振り返っていた。
アリソンやアリソンの家族、近所の農家の皆さん。オースティン、シャーロット。
沢山の人に囲まれて。汗水流して…。
ひとりぼっちで頑なだった子どもの頃をすっかり忘れて。新しい場所に馴染んで過ごしていた自分に驚いた。
そしてもうすぐ、最初に人の温かさを教えてくれたデイブとルビーの元に帰れる。
横を見てシャーロットの穏やかな寝息に幸せを感じた。
俺が欲しいものは、もう沢山側にあるんだな。ぬくもりや幸せを掴んだ手のひらを天井にかざして眺めると幸福感で満たされ
オスカーも眠りについた。


to be continue…
*******

真っ直ぐに心が伝わるって嬉しいよね✨
一生懸命に、挫けず腐らずひたむきに生きれば。わかってもらえる人と必ず出会える📙☕️


毎週水曜日更新📙✨

ワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀
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