【roots2】 《24章》おかえり・2
リリーが仕事から帰り4階に上がって来た。
「ただいま。お客様なのね」と言うと「リリー!!」とオスカーが喜んだ。リリーは「初めまして…?」と不思議そうにニッコリ笑った。
「リリー、僕だよ。オスカー!」張り切って言うオスカーにオーウェンは頭をかいた。
するとアリソンが「ここにいる人たちは全員が生まれ変わってもまた一緒にいるって本当かい?」と聞いた。踏み込んだ事さえも聞けてしまった。
「はい?」リリーが言ってソファーに座りオーウェンを見た。
デイブが爽やかな笑顔で「良くご存知ですね。僕とルビーは1000年以上一緒です」と言った。
するとアリソンが「そんな風に見えるよ!ずーっと6歳児じゃ一年が長いだろうからね」と笑った。よくわからないけど、上手く誤魔化せたみたいな空気になったので「そうなんです」と笑ってこの話を締めようとした。
リリーが「そうか…!私もね。おかしいなと思っていたの。オーウェンに初めて会った気がしないし…ここの所の大きな事件もなんとなく受け入れてしまえる自分が不思議だった」とオーウェンを見て言った。何て返そうと悩みながらオーウェンが口を開こうとすると「クッキー!私が初めてスマイルクッキーを焼いた時。食べる前にデイブが好物だって」とリリーが続けた。オーウェンは意を決して話し出した。
「俺が…いつもリリーを探して。リリーとまた一緒に暮らしたくて…」
でもあまりに長い話で上手く説明出来ない。
「どうして言ってくれなかったの?」リリーは決して怒ってはいない。何か言わなくちゃと思うけれど「それは、俺が勝手な…」
オーウェンが説明に困っていた。
デイブが「ロマンだよ。言わないでいて愛して欲しいっていう」と愛と口にした。オーウェンは覚悟を決めて「またリリーに会えたって事がさ。デイブの旅の中にいる俺の唯一、自分のためだけの幸せなんだ。だからリリーに言ってしまうのは違う気がして…黙っていてごめんよ」と真剣に答えた。リリーは無骨なオーウェンの精一杯の愛の言葉だと受け止めて「アリソンさんにお礼を言わなくちゃ。オーウェンからこんな言葉が聞けるなんて。」と優しく微笑んだ。
「皆んなは知ってるの?…よね」とリリーが周りを見渡して言うとデイブが「リリーを待ってたんだ。皆んな会いたくてね。お料理上手で美容師さんで、優しく微笑むリリーをね」と言うと
リリーは恥ずかしそうにありがとうと微笑んだ。
「私の結婚写真のヘアメイクはいつもリリーなの。後でアルバムを一緒に見ましょう」とルビーが言うと「そうなのね。嬉しいわ!」と喜んだ。
「言えずにいて…ごめんよ」デイブのその言葉には長い間の深い思いがあると感じて「デイブ、いつも私だけ巻き込んでしまっていると罪悪感があるでしょう?それは違うわ。私は皆といられて幸せだし、助けたいし、沢山助けて貰っているの」とキッパリと意思強く言った。
リリーは賢い女性。自分の中には記憶の無い昔からここにいる皆と積み重ねて来た絆がある事を
何も聞かなくても受け取っていると。
感じている、わかっているわと。
そう言ってくれたとデイブは心に染みて涙ぐんだ。
今までの会話を聞いていたアリソンが「なんてロマンチックなの?一人の女性を何百年も何千年も愛し続けるなんてさ〜素敵だよ。それもお兄さん!あんたが!ヘェ〜」とオーウェンを眺めて感心したように言って空気が一変し皆んなが大笑いした。
アリソンはこの家族の理解不能な不思議な事象全てを「そんな事もあるんだね」と騒ぎたてずに受け入れていた。
食事の後、デイブがオスカーにちょっと来てくれと誘ってサイラスの元へ連れて行った。
「あぁ、植木だね」
「サイラスだよ。葉を送っただろ?」
「あぁこの木、家にあったの?」
オスカーが聞いた。
「サイラスはね森の主でね。森の奥に立つ大きな木だったんだ。1000年くらいそこで僕らを見守ってくれている巨木だよ。僕を…チェイスから救うために粉々になってしまったんだ」
「魔術が使えたの?」
「そうだよ。話が出来てね…。倒れた木から元気そうな枝を切って持ち帰ったんだ。ここで育てて森に返すよ。きっとまた森の主に戻れる。恩返しをしたいんだ」
デイブの言葉を聞いてサイラスへの強い思いを理解した。「大切にしているんだね」
「オスカーを紹介するってずっと前から約束してたから。こうして話すんだ」葉を両手に挟んで「サイラス、息子のオスカーだよ。やっと会わせられたよ」と言うと光の輪が目の前に現れた。
代わってオスカーが葉を挟んで「サイラスさん、初めまして。デイブを助けて下さって本当にありがとうございます」と言った。
その様子を上の階から皆が見守っていた。「デイブ嬉しくて眠れるかしら?」とルビーが言うと皆がドッと笑った。その声でデイブが上を見上げて嬉しそうに笑って皆にブンブン手を振った。
「聞こえてないな」とオーウェンが言って、また皆んなが笑った。
to be continue…
*******
リリーも知る所となって本当に皆んなが一つになれたね。アリソンのおかげかな📙☕️
#長編小説roots #長編小説#小説#挿絵#イラスト#ワクワク#ドキドキ#喜び#幸せ#月ノ羽音#roots