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32)オレンジとブルーが混じりあう夕日




20代の記憶より10代の記憶が
圧倒的に濃い気がする。


秋の夕日を見ると高校生の頃、田園越しに見た真っ赤な夕日を思い出す。


冬の夜空を見ると高校生の頃、早朝バイトに向かう道のりを思い出す。 


流星群のワードを聞くと、中学校の頃、弥生ちゃんと星を探した夜を思い出す。


吹奏楽部で吹いた曲を聞くと今でもリズムを刻みたくなる。


タバコの香りを嗅ぐと塾の先生に勇気づけられたあの日を思い出す。そして、自分はやれば出来ると心が強くなる。


帰り道に料理のにおいが香ると母を思い出す。母のつくってくれた料理がやっぱり一番好きだ。好き嫌いが多かった私と弟の為に色々工夫してくれていた。


激しい雨の日は、学校まで迎えに来てくれた父を思い出す。


20代の記憶も勿論ちゃんとあるけど
何かを見たり、聞いたり、感じたりする感度が10代より薄れているように感じる。
 
すごくもったいない。
もっと感じたい。
ふとした瞬間に思い出したい。



先週、オレンジとブルーが混じりあう美しい夕日を目にした。

この瞬間を思い出す未来はあるのだろうか。

また夕日を見ると10代に見た赤い夕日を思い出すのだろうか。

それでもいいけど、やっぱりこのオレンジとブルーの夕日も思い出したい。

意識的に心に刻むように瞬きをした。



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