【小説の書き方】始めてでもプロットを作れるフローチャート! 物語がプロットからズレてしまう人の対処法も解説 小説講座その9
数回に渡って小説の作り方を解説してきました。ここまで得た知識と練習を組み合わせれば、もう小説は書けるようになっている筈です。
今回は本格的な物語作成に向けて、設定・プロットの作り方をまとめると共に、一度全体的な流れを解説し直していきます。
誰でもできる物語の作り方
物語の簡単な作り方は、以下の通りになります。
あくまでも一般化したメソッドになるので、使い易いように簡略化したり、独自に発展させていって貰って大丈夫です。
ラストシーンやアイディアを考える
アイディアから軽くキャラを考える
対話式小説で重要シーンを書き起こす
重要シーンを見ながら必要な設定を書き出す
物語の骨組みを決める
ラストシーンと照らし合わせながら問題の大きさを考える
キャラや設定を詰める
独白式と対話式、地の文を組み合わせて物語を作っていく
では一度これを流れに沿って、再度解説します。
これまでに解説した事なので新しい情報はありませんが、確認しながら自分のプロットを詰めていって下さい。
ラストシーンやアイディアを考える
小説を書くことは、描きたいものを見付ける事から始まります。小林さんの話で言えば「回復魔法で整形が戻ってしまう」というアイディアですし、猫の独白式だと「猫から見たら人間の方がツンデレなのでは?」という思い付きです。
「自分が思う最強にかわいいヒロインを描きたい」「夢で見たこの光景を形にしたい」「友だちとの会話が面白かったので、物語に膨らませたい」などなど。きっかけは、なんだっていいのです。
小説を書きたいと思ったあなたは、既になんとなくアイディアや構想を持っている筈。1作目はそれを形にすれば大丈夫。躊躇う事などありません。
ピックアップを行ってきたあなたなら、もうすでに小説を書いていく実力は付いている筈です。
必要な人物を軽く考える
書きたいアイディアが定まったら、そのアイディアを形にするために必要な人物を書き出しましょう。小林さんの場合は「回復魔法を使う主人公」「主人公のライバル」「ライバル役の取り巻き」でした。
「旅人」とか「女生徒たち」などは、この時点では考えなくて大丈夫です(思いついたのであればメモしておきましょう)。
これは全く難しいことではありません。恋愛小説が書きたいのであれば「主人公」「主人公の好きな人」が、最低限必要という話。三角関係の話が書きたいのであれば、その2人に加えて「主人公の好きな人が好きな人」のような人が必要という当たり前のことでしかありません。
最低限必要な役割を、ただただ書き出していきましょう。人物を詳しく設定する必要はありませんが、設定が思いついたのならどこかにメモしておきましょう。
対話式小説で重要シーンを書き起こす
アイディアができたら、対話式で重要シーンを書き起こしてみてください。情報をまとめるメモみたいなものなので、綺麗な会話にする必要はありません。
先程考えた必要最低限必要な役割の人同士を、対話式小説で喋らせてみてください。ここで自然な会話にならなければ、不足している役割があるかもしれません。もう一度役割を書き出し直してみましょう。
そして最初の対話式の練習で行ったように、この時点でシチュエーションも思い浮かべておいてください。
重要シーンを見ながら必要な設定を書き出す
重要シーンを対話式で書き出せたら、今度は必要な設定をしっかりめに書き出していきましょう。
登場人物をより詳しく設定する、シチュエーションを書き出して明確にする、そして物語がそのシーンに至るためにどんな設定が必要なのかを考える。非常に重要な部分です。
小林さんの件で言うと、ラストシーンに行くために必要な設定を書き出していた工程。5W1Hを使って、なぜこうなる?どうしてこうなった?と書き出したシーンを突き詰めていきましょう。
この工程は、時間を掛けてじっくり行って大丈夫です。数日かかるかも知れませんし、何日も悩んで最初から練り直しになるかも知れません。それで大丈夫。非常に重要な部分なので、焦る必要はありません。
もっともここで詰まって小説を書くのを諦める位なら、一度飛ばして先に進んで下さい。
何度もいいますがこれは多くの人に当てはまる方法であって、全員が絶対こうしなければいけないというものではありません。
あくまでも参考にして、自分のやり易いようにカスタムして下さい。
物語の骨組みを決める
重要なシーンに至るための設定を書き出したら、いよいよ物語の骨組みを組んでいきます。
小林さんで言うと、異世界転生して追放されたところから、樋口さんにやり返すラストシーンまでの流れを書き出した部分です。
これについてはひとつ前の工程で設定を書き出していれば、自然と組み上がる筈。破綻しないように気を付けて、シーンのスケジュールを組んでいきましょう。
ちなみに小林さんのプロットは、一番簡単な単一のスケジュール(小林さんを追っただけのスケジュール)です。多くの物語はこれで書けるので、基本的にこれさえできれば大丈夫です。
ただしミステリーだと「探偵」「犯人」「被害者」「目撃者A」「目撃者B」など、キャラごとのシーンスケジュールを書き出し、それを矛盾なく組み合わせる必要があったりします。これによって物語に深みを持たせたり、難しいトリックを行ったりできるようになる訳です。
最初からそんな複雑な物語を書くことはオススメしませんが、自分の物語に必要であれば、複数人の視点の骨組みを込んでみてください。
混乱を招かないように念押しになりますが、普通の物語を書く分には単一のスケジュールで十分です。
複数軸のプロットの書き方について、後に解説していく予定です。
重要なシーンと照らし合わせながら問題の大きさを考える
ここまでくればあと一息。重要なシーンに潜む物語の問題を明確にし、それを解決する方法を具体化していきます。
この問題の大きさや解決方法によって大まかなジャンルが決まっていくので、自分の書きたい方向性に合致するように調整して下さい。
この時に問題解決への道筋が、あまりにも複雑になってしまう場合は注意が必要です。的確な説明ができないと、問題解決の方法の説明に終始して、物語が進まなくなる恐れがあります。
もし物語をうまくまとめきれないと思うのであれば、この時点で問題を簡略化しましょう。
キャラや設定を詰める
ここまでくると世界観などは、ほぼ完成です。設定や骨組みに沿って書いていけば、物語自体は完成させられます。
ただ面白い物語が書きたい方は、一度ここでキャラや世界観の設定を再度見直してみてください。
なぜなら今手元にあるその設定は、骨組みを考えながら、手探りで作り上げたものに他ならないからです。テストで言えば問題を一通り解いた状態。どんなミスをしているのか分からないのですから、見直しは必須でしょう。
あなたは物語の骨組みを作り上げ、問題を設定し、やっと物語の全容を把握したところ。今の全容を把握した状態で、「主人公のこの性格で、この結末に辿り着けるか?」「このシーンを活かすためには、こういう設定があった方が自然なのでは?」など、全体の見直しをして見て下さい。
独白式と対話式、地の文を組み合わせて物語を作っていく
これで物語のプロットが完成しました。後は書くだけです。独白式と対話式、地の文を組み合わせて、書いて行って下さい。
拙い文章でも少々矛盾があっても問題ありません。後で直せばいいのですから。
作り上げたキャラを、骨組みに沿って動かしてあげて下さい。恐らくプロット通りに物語は進みません。それで大丈夫です。多くの作家さんが、プロットを無視してキャラが動いてしまうと言っています。
プロットを修正したり、新しくプロットを作ったりしつつ、物語を完結まで書き進めて下さい。
設定に矛盾が生じたり、キャラの性格が最初と最後で変わってしまっても大丈夫。書き終わってから修正すればいいだけですから。
プロットからずれるのは成長によるもの!
物語を書いている内に、プロットや設定からキャラやストーリーがズレていってしまうかもしれません。
しかしプロット通りに進まなくても、落ち込む必要はありません。なぜなら物語を書く内にあなたは成長するから、プロット通りに進まない理由だからです。
プロットを組んだ時点のあなたよりも、物語を書き進めた後のあなたの方が、キャラや世界観への理解が深いのは当然でしょう。
なので書いている途中で、プロットよりもこう書いた方がいい!となってしまうのは、おかしなことではないのです。
決めた通りに書かないといけない!と縮こまってしまっては勿体ない。思うままに楽しんで、物語を書いていきましょう。
ここまでレッスンをクリアしてきたあなたには、十分その力がある筈です。