1ページ小説「私がテレビを見なくなった理由」
昔はお笑い番組が好きだった。正確には仕事終わって家に帰り、気分転換にテレビを付けると、決まってお笑い番組がやっていた。
ベテランのお笑い芸人が司会をし、たくさんの若手達が一生懸命ボケやツッコミをする。
空気を読んだり、予想もできない事を言ってみたり。失敗もするけど、頑張ってる姿を目で追っていた。
スベって怒られて、オチが弱くて微妙な雰囲気になって。それでも先輩に認められて、生き残るために若手は必死だ。
そんな姿を見て応援して、感情移入して、息苦しくて。
ある時ふと我に返った。俺はテレビを見ながら、愛想笑いを浮かべていたのだ。