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#25 地下世界へようこそ

誰でも気軽に挑戦できる冒険。
今回はそんなものを紹介してみたいと思う。

「ケイビング」という活動をご存じだろうか。

ケイビング(英語:caving)は、趣味またはスポーツとして洞窟に入る探検活動である。 洞窟探検のアウトドアスポーツとしての面を強調した言葉である。 日本では洞窟(cave)自体の多さに比べて、まだそれほどポピュラーではない。

Wikipedia

そう、洞窟探検
みなさんも、鍾乳洞の観光をした経験はあるのではないだろうか。

その鍾乳洞で見ているのは、観光用に整備された道の中だと思うのだが、このケイビングというのは、観光で見ている洞窟のさらにその先に、実際に足を踏み入れる行為になる。

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鍾乳洞に流れている湧き水の中を通ったり。
ほんの小さな隙間を潜り抜けたり。
足元を照らす照明は、自分が身に着けているヘッドライトのみ。

閉所恐怖症のかたにはお勧めできないが、わたしはこのケイビング、ぜひ多くのかたに体験してみてもらいたいと思っている。

わたしが初めてケイビングに出会ったのは、いつ頃だっただろうか。

ウェットスーツもいるし、なによりも本当に危険が伴うので、ケイビングは通常ツアーに参加するかたちで行う。

もともとラフティングが好きでいろんなツアーに参加していた際、洞窟探検のツアーなるものが存在していることを知ったのがきっかけだった。

どれも全身泥だらけの写真が紹介のところに載っているのだが、どの写真を見ても、みんな心からの笑顔をしているのが非常に印象的で、気が付いたら申し込みをしていた。

最初は、地元の割とスタンダードなケイビング。

ウェットスーツを着て、ヘルメットつけて、防水バッグもって、ヘッドライトつけて。

一度行ったら、やみつきになってしまった。

一番記憶に残っているのは、奈良県の山奥の洞窟だ。
存在自体あまり知られておらず、本当に好きな人の知る人ぞ知る、というようなスポット。

まずその洞窟にたどり着くまでに、1時間くらいの登山をして。

たどり着いた洞穴に、ガイドさんとともに入る。

このときのツアーのポイントは、通常洞窟内の狭い場所を歩き回るのみのものが多い中、なんと地下水脈に潜って泳いでいかなければゴールができないというものだった。

友人と二人で参加したのだが、まあ面白かった。

非日常感どころの話ではない。
もう、すべてが本当に冒険だった。

道なき道、「いや無理でしょ!」というところを、体勢を工夫して通り抜け、冷たい地下水に身を縮ませ。

地下水に潜るところでは、正直、冒険好きのわたしでもすこし抵抗があったくらいだ。

いったん潜って水中にあいた穴を潜り抜け、反対側に泳いでいくシーン。

なかなかどうして、緊迫の瞬間だった。

閉鎖空間でただでさえ心拍数が上がるというのに、水の中、呼吸のできない場所。

「背負っているリュックがひっかかると危険だから、深くまで潜って」

ガイドさんがそう案内して、お手本を見せてくれる。

わたしは、意を決して飛び込んだ。
深く、深く。

そう思っていたのだが、意外と浅かったのか、水の中でリュックが挟まってしまい、水中で身動きがとれなくなってしまった。

やばい。苦しい。どうしよう。

プチパニック状態になるも、水中では助けも呼べない。

時間がかかりすぎている、ということから、ガイドさんも察してくれたのだろう。

ほどなくして、わたしはどこからか伸びてきた手につかまれて、無事に反対側へ降り立つことができた。

いや~、本当に死んだかと思った。

こんな危険ならしたくないわ!と思ってしまう方も多いかもしれないが。

ケイビングは、単に危険と隣り合わせのスリルを楽しむだけじゃないのだ。

そう、その水中を越した後、そのスポットはやってきた。

相変わらず細い道をアクロバットな体勢で乗り越えた先に、ぽっかりと大きな空洞が広がっていた。

「ここに横になって、ヘッドライトを消して」

ガイドさんの言葉通りに、なるべく平坦な場所を探して、寝っ転がってライトを消す。

全員の明かりが消えると、一瞬でそこは真っ暗な闇になった。

そして。

「すごい…」

感嘆の声は、意図せずに出ていた。

そう、まるで星空のように。
壁の中に、キラキラ輝く糸のようなものが張り付いていた。

その場にいた全員が息をのんだ。

静寂の空間。美しい世界。

あえて、詳しい描写は避けよう。
ぜひ、実際に体験してもらいたい。

ケイビングは、ツアーに申し込めば誰でも気軽に参加できるし、とてもお手軽な冒険ができるので月猫的にはイチオシだ。

日本は全世界でも有数の洞窟大国。
どの地方にも、多かれ少なかれ洞窟は存在する。

ウェットスーツを身に着けて、高鳴る鼓動にライトを照らし。
地下の暗闇に潜った瞬間、あなたの世界観はきっとかわる

さあ、いまこそ、地下世界へ旅立とう。

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