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3.紫陽花ジェラート〜甘みを抑えた青と紫の上に赤い花びらを添えて〜

すっかり梅雨入りしてしまった
卒部の日が刻々と近づいていたそんな6月。
赤琳の家に招かれた。
実験用紫陽花が満開になったらしい。

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青「すごい…本当に綺麗だね」

赤「これはエンドレスサマーって品種よ。こっちはパープルドレス、他にも色々あるわ。」

赤琳が説明をしてくれている中でふと目をやった紫色の紫陽花から目を離せなくなった。

それはあまりにも綺麗な紫だった。

一瞬で、心が奪われてしまった

赤「そういえばバタフライピーのハーブティーをいただいたの。持ってくるわ。レモンシロップをかけて飲むと美味しいのよ」

赤琳の姿が見えなくなる

魔が刺した

いけないことだとわかってた

だけど、体が勝手に動いていた

私は生き生きと咲き誇る紫の紫陽花を

一朶カバンにしまった。

___ 

異変に気づいたのは次の朝だった

実験室の横の庭

親はおろか、お手伝いさんすら私の花壇には近寄らない。
私しか、手入れをしないはずなのに一朶、なくなっている。
普通なら見落としてしまいそうな、ほかの紫陽花に埋れてしまいそうな下の部分。
蜘蛛の巣がかかっていたからそれを取ろうと花を避けたら、明らかに茎から切られている。

思い当たるのはただ一人。
私は、急足で学校に向かった。

部活の時間までずっと気もそぞろだった。
青海が紫以外の紫陽花の標本を持ってきていればなんともない。大丈夫。青海はそんなことしない、あたしのことをよくわかってるんだから、あたしの作品にそんなことしないって思ってたのに。

青海が持っていたのは紫の紫陽花だった。

私の薬品で溶けるはずの紫陽花が

青海の手によって永遠の命を持とうとしている。
美しいまま、青海の心を奪い続けようとしている。

許せなかった。

紫陽花も、青海の心も

私のものにならないなら


全部溶けて仕舞えばいいのに。

理科研究部日誌
記入者 玉城青海

6/28(水) 雨 
論文用の標本を作り出しました。
論文も書き始めたので卒部までには提出できそうです。
世界一綺麗な紫の紫陽花、私の手で永遠に綺麗なままで残せることが嬉しいです。
別件ですが卒部に向けて準備室の掃除も着々と進めています。
3年間赤琳と自宅のように使っていたここを離れるのは寂しいですが、残りの時間も無駄にしないようにします。

今日行ったこと 論文を書く


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次回 7/8 4.紫陽花の枯葉〜色彩の暴力を散らして〜
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MoonCalmと申します.

話の中にも出てきましたが、バタフライピーのハーブティー、飲んだことありますでしょうか?
僕は最近こればかり飲んでいます.
淹れたては青色のハーブティーなのですが、レモンを入れることで薄紫の色になります.
どこか、紫陽花を思わせるような、この作品に似たものを思わせるようなハーブティーですよね.
お茶専門店やネットなどで買えます.意外とお手頃価格なので気になった方は是非調べてみてはどうでしょうか?

さて、次の4話で物語自体は終わりです.
Epilogueもあるので、最後までお楽しみいただけたら幸いです.
どうぞよしなに.

では、またどこかで.


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