
さくら
#4
学校にいる時の柊子は、無気力で人の話を聞いていない。
私とは正反対で、時々イラッとさせられる。
だけれど、学校から離れてふたりで話す時の柊子は、少しだけ違っている。
無気力っぽいけれど、ちゃんと私と向き合っている。
だから、どうしようもなく変えようの無い私の性格も、『私と違っていて面白い』と笑って受け入れる。
それから柊子は私によく会いに来る。
私も柊子の真似をして、彼女の性格を笑って受け流すと、気持ちが楽になっている。
だから私も柊子に会いたくなるから、会いに行く。
ある日、柊子に会いに行くと、紫郎が出てきた。
『今、留守番中』とやけに寛いだ感じで出て来て、私を中に入れてくれた。
前回会ってから暫く見かける事もなく、紫郎の存在を忘れていた。
何も話すこともない気まずい雰囲気の中、紫郎は不意に
「そろそろあんたも、柊子の事厄介に感じてきた頃じゃないか?」
と聞いてきた。