絶望の中で 8話
ボクが目を閉じて固まっていると、優しく話しかけてくれる。
学校で倒れた時の事を心配してくれた。
でも、倒れたわけじゃないから。
雷が怖かった事も、耳を塞いで丸まっていた事も、それで疲れて寝ちゃった事も、仕方なく先生に話した。
それから、ちょっと騒ぎになっちゃった事も。
先生は「騒ぎになっちゃったか〜」と笑ってくれたけれど、それを後ろで聞いていたお母さんが怖い。
先にお母さんが、ボクが学校で倒れた事先生に話しちゃったのに。
耳を塞いで倒れていたから、耳が痛かったかもとか言っちゃうから。
ボクは耳が痛くなかった事を話す為に、恥ずかしい話をしたのに。
ボクは又目を閉じて固まる。
だけど、先生は優しい。
言わなくていい事を話すお母さんにも、恥ずかしさに耐えて話すボクにも、偏りなく話を聞いてくれる。
それに、怖かったお母さんを普通に戻してくれた。
でも、次は耳の奥に溜まった液体を抜くために、鼓膜切開するから…と言った先生には、会いたくなかった。
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