雨の色
僕は、特別雨が嫌いというわけではない。
彼女が
「私雨女で…」
とよく言っていた。
確かに、彼女との出会いも雨がきっかけで、出かける時も雨の確率が高かった。
だから遠出せず、彼女の部屋で過ごす事も多くあった。
仕事が忙しい僕にとって、それは都合が良かったし、たまの遠出になら付き合うくらいの余裕はあった。
しかし、女性との付き合いで身体が近くなる事はいいが、心が近くなるのは望まない。
結婚とか、家庭とか、まして子どもなんて僕には無くて困るものではない。
彼女と過ごす雨の日は、ブルーグレーの世界で気に入っているのだから。