
さくら
#3
柊子と出会って私の生活は一変した…という事はなく、あいも変わらず絡んでくる相手はいつも一緒で、絡んでくる。
ただ、柊子の事を苦手に思っている人は絡んで来なくなった。
変わらずの人たちも、難癖をつけているだけなので、それもどうでもいい日常となり、毎日退屈で少し楽しい日々だ。
夏休みが明けしばらくして、テスト期間に入る少し前の放課後、図書館に本を返却しに行って教室に戻ると、柊子が珍しく男子と立ち話をしていた。
しかもちょっとチャラそうで、どちらかというと柊子が嫌いそうなタイプだ。
「柊子」
絡まれたのかと、少し強めに名前を呼ぶ。
「あぁ…さくらお帰り」
予想に反して呑気な顔を見せたので、安心した。
その後すぐに、横にいる彼を紹介してくれた。
生まれた時からの歴史があるせいか、滔々と語り、その間中嫌そうな顔をしていた。
こんな柊子も珍しく、ちょっと笑ってしまった。
紹介された彼はそれがいつもなのか楽しそうに柊子を見ている。
紹介が終わり私の方へ向き直し自分の名前を名乗った彼は、先ほどまでのチャラさを引っ込めて私を見つめた。
ちょっと怖く感じたが、私も挑む様に自分の名前を告げた。