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8話
熱を出した。
心も身体も疲れて、食事も喉を通らない。
とはいえ、服を脱いで下着のまま何となく上掛けを羽織ったような状態で寝てしまった私の自業自得でしかない。
這いずって冷蔵庫まで行くも、食材はあるが飲み物は全く無かった。
普段冷たい物を口にしないので、茶葉とか、お湯を注ぐだけのインスタント的な物しかなく、いつも使っているウォーターボトルを持ってベッドへ戻った。
とりあえず喉が潤えはいいと、口へ注ぐ。
目を閉じて深く眠る。
眠りから覚めれば、少しづつ水を口に注ぐを繰り返していた。
目が覚めても頭が重い。
咳や鼻水みたいな症状はないが、ダルいし熱っぽいし身体が痛い。
ちゃんとパジャマに着替えて、布団に包まって眠ればよかったと後悔する。
目覚のぼんやり感に抗うように意識がハッキリとしてくると、また後悔した。
「目覚めたか」
と覗き込んだ聿が言った。
そしてそれに反応して逸が同じように覗き込んだ。
鈍くなっている頭でもわかった。
バレちゃった事を。
聿は目が鋭かったし、逸は眉が下がっていたし、2人揃っているし…
「あ、あぁぁ…う〜ん……」
言い訳が思い浮かばない。
「え〜っと、ごめんなさい?」
とりあえずは謝罪かなと思って口にしたのに。
「何の謝罪だ」
と厳しいひと言。
「一応病人だから優しくしてください」
これは…無理かなと聿の顔を見て諦めるしか無いきがした。