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嘘つきは猫泥棒の始まり 第2話

第2話

拓実は優しいが
私だけにってわけでもなく
誰にでも優しい。

「柳下くん。そういう優しさが
勘違いさせるから、気をつけた方が良いよ」
「え?何が?」
「優しいから自分に気があるのかと、思われちゃうよって事」
「わかりました!気をつけまーす。お姉様」

弟みたいな奴。
そう思っていた。

その日、アパートの近くで
猫の鳴き声がした。
植え込みの所に
段ボールが置いてあって
そこから聞こえてくる。

覗き込むと、まだ臍の緒がついた
小さな猫が鳴いている。
え?どーする?
周りを見ても親らしき猫は居ない。
いや、どう見ても捨て猫だよね?
仕方なく、部屋に連れ帰るが
アパートでは飼えるわけもなく
大家さんには飼い主が見つかるまでと
お願いした。


バイト帰りに、例のごとく
拓実と並んで歩く。
最近、少し拓実の元気が無い様な
気がして、声をかけた。

「どうかした?なんか最近ちょっと
暗くない?」
「俺、トーン低くなってますよね?」
「何があった?」
「僕の恋人が死にました……」
「え?」
突然の衝撃的な告白。
恋人?



#泥棒猫
#弟みたいな人
#恋人が死んだ

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