小説✳︎「月明かりで太陽は輝く」第34話
結里子ー本当の想い
ケイからの言葉に、私の心の固まりが
ゆっくりと溶けていく。
紘太はもう、星になってしまったから
夜がきて、星が瞬くたび
思い出してしまうだろう。
それでも良いと言ってくれた。
未来を一緒に作りたいと、言ってくれた。
諦めなきゃだめだと思っていたけど
私が、ケイと一緒にいたい気持ちは
本当の私の想い。
一つ一つのケイの言葉に
心が幸せに満ちていく事を感じる。
「ありがとう。ケイの気持ちは本当に嬉しい」
「良かった。わかってくれて」
チョビが「にゃー」と鳴いた。
♢♢♢♢♢♢
私は
「コーヒー入れるね」と言って、台所へいく。粉を蒸らして、ゆっくりと香りが
広がる部屋の中で、さっきのケイの言葉を胸の中で繰り返す。
心がどんどん温まってくる。
カップに注いだコーヒーと
ミルクを混ぜる小さなスプーンと
ケイの大きな手の指先を
静かに見つめていた。
一口コーヒーを口にしたケイは
「あー。美味しい」
エクボのあるケイの笑顔は
本当にこちらを幸せにしてくれる。
だけど……
私もコーヒーを一口飲んで
深呼吸してから、おもむろに
椅子から立ち上がり、ケイに背中を向けた。