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短編小説✳︎名前の由来③

するとまさに
その曲がラジオから流れた。
「あ、これこれ!
これですよ。
そうだ。
雨音はショパンの調べ
ってタイトルでした」
「あら、偶然ですね」
母の心は少し和んだ。

不安を煽るザーザーと降る雨音も
ラジオから流れる
透明感のある歌声が重なると
心地良くなるのが不思議だ。

それから直ぐに、車は動き出し
曲が終わる頃には
無事病院に到着した。

料金を受け取りながら
運転手は
「きっと大丈夫。
うちの妻も雨の日のお産は
軽かったので。お大事に」
と声をかけてくれた。

「ありがとうございます。
お世話になりました」
母はそう言って病院の入り口に
向かった。

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