日記292:「ご覧、ぱぺ」
刀削麺等々だよ。
モールで刀削麺を食べてきた。
1週間ほど前に別のモールで浮き浮きと初のコメダ珈琲に行ったのだが、調子のよくなったここ数年で確実に最悪に近しい発作が起きて死ぬかと思った。よってしばらく外食に挑戦することはできないと思っていたのだが、モールでなんとなく立ち寄った店の近くに開けたフードコートがあったので、ここならば食えるかもしれんと勇気を出してきた。
昼すぎだったのでフードコートはかなり空いていて、そもそもこういう場所には嘔吐恐怖になる前にもあんまり来たことがなかったのでいまいちわからなかったが、とりあえず空いていたのは確実だった。
店が色々あり、面白いな、と感じた。ラーメン屋があったのはかなり嬉しかった。店でラーメンを啜ることなど何年もしていなかったためである。だから初めは、ウーン豚骨ラーメンって脂こいのだったか…?と悩みながら店前に貼られたメニューを見ていたのだが(ここで立って見ていてもいいのか少し不安だった。あまりにも慣れていなさすぎる)、ふと母が「あ、刀削麺あるよ」と言ってきたので意識がそちらに向いた。刀削麺?
いや、刀削麺くらいなら知っている。テレビ番組で見かけたことがある。なんか、こう…刀でサッサッと削るやつだろう。字面通り。そんなことを考えながら、しかしラーメンよりも刀削麺の方が珍しそう、ラーメン屋よりも刀削麺が売っているような店の方が入りづらそう、そんな理由で私は自然とメニューを凝視していた。
しばらくしてから決めた。適当な席につき、
母と駄弁る。コメダや先日の映画館ほどではないが、食事処ではまあまあ不安になるくらいの吐き気があった。
フードコートに入る前に寄ったヴィレヴァンに澤村伊智の作品があったとか、その後立ち寄った本屋で叔母が好きなおぱんちゅうさぎの漫画があったので買っていってあげようとしたが1000円だったのでそっと置いてしまった、漫画というのは斯様に高価なものである…とか、そんな話をしていた。
しばらくするとリモコンのような機械が鳴った。ちょっと待っていてもいいかと母に断りを入れて座ったままでいた。
私が頼んだのはカルボナーラ刀削麺だった。刀削麺カルボナーラだったかもしれない。とにかくそんな素っ頓狂なメニューがあったので、そんなよくわからないものがあっては食うしかないのでそれにした。
母はしらすとネギの刀削麺、それとチャーハンにしていた。悩みに悩んだ末の選択だったので決まってよかったなあと思っていたのだが、しかし母は険しい顔をしている。それから一言。
「炒飯に」
「セットの炒飯にミックス・ベジタブルが入ってるなんて思わないじゃん…」
それ小皿に弾いて渡してくれたら食べるよ、と言った。母は無言で箸を用いてピン…ツン…と炒飯の分解を始めたのだった。