【富士登山2023】御来光、そして富士の山頂へ――【八合目→山頂】
前回は深夜の富士登山を開始し、なんだか良い感じだと思ってたら、後半に行くにつれて足が限界になった。
すぐそこまで迫りくる日の出時間。
一体どうなる!?
紫立ちたる雲がモクモクたなびいている。
そしてもう動かない足。
うん、このまま見よう。この景色を。
……もうすぐ朝がやってくる。
しかし今まで暗かったから全然分からなかったが、この辺りの地面は赤かったらしい。
ヘッドライトの光量では気づけなかった世界だ。
下を見ると、宝永山も実はあんなところにあったようだ。
見えていなかった世界がどんどんクリアになっていく。
あ出た。
これが自分の人生初めての、富士山での御来光です……!!
・・・
まあこういうのも自分らしくていいか。
日の出によって一気に照らされていく大地。
そして体で感じる『太陽のあたたかさ』……!
あんなに暗くて寒かった世界が、太陽が出るだけで一変してしまった。
この暖かさと、大地全体を照らし出す圧倒的なエネルギー。
これは太陽信仰が生まれるわけである。
太陽はすごい。
……では、元気もちょっと湧いたし、最後の登りを頑張っていこう。
もう焦る必要もないので一歩一歩着実に。
御殿場ルート、登頂完了!!
時刻は5時20分。
や、やり遂げたぞ……!
ではパンパンに膨れた勝利のカロリーメイトをいただこう。
カロリーメイトで口の中をモサモサにしつつ、半蔵坊を出たのが23時30分だから、6時間も登っていたという事実に気づく。
疲れもあったとはいえ、これはなかなかにきつい事実だ。
他のルートだったら普通に登山口から山頂まで行けそうな時間である。
さて、それでは体力も限界だが、山頂を見ていくとしよう。
この御殿場ルート山頂にあるのが、銀明水である。
富士山頂の枯れることのない湧き水として有名だったこの場所だが、今となっては雪の減少などによって普通に枯れている。
しかし山頂にある湧き水なんて、昔の人にとっては本当にありがたかったんだろう。
ゴール地点にあるご褒美のようなものだし、そりゃ神様による贈り物だと思うのは当然で、霊水として扱われもするわけだ。
そして凄まじい荒々しさの火口。
うーん、大迫力!!そして本当にでかい!!
では、御殿場ルート頂上のすぐ隣にある富士宮ルートの頂上まで移動してみよう。
他の山頂はどんな状況か気になるし。
富士宮ルートの山頂は大混雑していた。
中国語らしき声も飛び交っている。
どうやらツアーで来た人たちのようだ。
やはりツアーともなると、メジャーな吉田ルートか富士宮ルートになるということなのだろう。
これは多分、登山道も大変な混雑になっていたんじゃないだろうか。
そう考えると、混雑と無縁の御殿場ルートはやはり最高……?
おっとそうだ、
富士山の本当の最高地点である剣ヶ峰をズームでチェックしてみよう。
この場所でこの混み方ということは……?
(うっわぁ……)
なんと馬の背まで人が行列を作っている。
……よし!
お鉢巡りと最高地点は無しで!!!
いや、もちろん混雑してるからというのは行かない理由の一つでしかない。
正直なところ、お鉢めぐりなんてしたらもう足がヤバい気がするのだ。
「登ったけど下山できませんでした!!」なんてことは避けねばならない。
下山用の体力は残しておかないと。
それに過去に一度あの頂きには立ったことがあるわけで、今回はいいだろう。
自分はソロ登山者。安全第一である。
とはいえちょっと開けた場所に移動してゆったりすることにする。
せっかく山頂まで来たのだ。
少しはこの空間を楽しまなければ。
足も少しは回復させたいし。
はぁ……なんという素晴らしい景色……!
夜も綺麗だったが、こうして色づいたものもまた良い!!
山梨県側はどうやら雲海になっているようだ。
スッキリした景色と雲海をどちらも楽しめるとか最高である。
これは気分良く下山ができそうだ。
……そうだ、山頂での血中酸素濃度を測っとこう。
今回の登山は色々やりたいことを詰め込んでいるが、血中酸素濃度チェックもその一つだ。
まあここまでに5回ほど測ったが、どうにも微妙な感じなのだが。
結果は97%。
……やっぱりこれ当てにならないのでは?
天気予報を見て、今しかないと思ってチャレンジした富士登山。
双子山での雨以外は天候にも恵まれていて素晴らしい景色が見れた。
前日に山小屋予約も出来たし、初めての夜間富士登山も良い経験だ。
そういえば、御殿場ルートは吉田ルートや富士宮ルートと比べると、手を使って登るような岩場が全然なかったので、夜でも快適に登れた気がする。
全体的な過酷さはともかくとして、御殿場ルートは混雑とは本当に無縁。
これは体力さえつけたら、一番好きなルートになるかもしれない。
しかし本当に、無事山頂まで行けて良かった……!!
さて、それでは景色も楽しんで少しは足も回復したし、下山するとしよう。
でもここで気を抜いてはいけない。
最後に怪我なんてしたら台無しである。
そして御殿場ルート下山のお楽しみ、大砂走りも待っている。
富士山頂に別れを告げて、下山編へ続く!