【つながる旅行記#269】新宿御苑で遭遇した日本っぽくない建物【旧御凉亭】
前回は初めて訪れた新宿御苑でメタセコイアやらラクウショウを見た。
では引き続き苑内を巡るとしよう。
しかしなんかもう写真だけを見たら、どう考えても新宿で撮った写真とは思えない自然っぷりだ。
都心にもこんな場所があったことにあらためて驚く。
そして明治レベルの昔には、日本庭園には動物園があったらしい。
まあ一般人は入れない皇室に献上された動物のための場所だったのだが、大正15年に廃止となり、動物たちは上野恩賜動物園へ移されたそうだ。
いやしかし、なんという贅沢な土地の使い方だろうか。
(新宿でこんな広さの公園なんて、土地代だけでどんなことに……?)
そんな日本庭園ゾーンを歩いていたら、日本っぽくない建物を発見した。
なんだろう、三國無双とかに出てきそうな中国風味な建物だ。
これは『旧御凉亭』。
昭和天皇がまだ皇太子だったころに、御成婚を記念して台湾在住邦人が造営した建物だそうだ。
きっかけは大正12年(1923年)の皇太子による台湾行啓だったようで、その時に集めた募金が建築費の元になっているとのこと。
なるほど台湾だったか。
そういえば当時の台湾は日清戦争後の下関条約によって日本のものになっており、1920年創建の明治神宮の8つの大鳥居も台湾のヒノキをわざわざ運んで作っていたという話を聞いたことがある。(当時の日本にはもう大鳥居にできるような大木がなかった)
なお旧御凉亭に使われている柱材は台湾スギで、石材は伊豆の本小松石。
ついこの前伊豆にいた自分としてはなんとなく嬉しいめぐり合わせだ。
いやしかし新宿御苑で異国情緒を感じるとは思わなかった。
だが当時のことを思えば、これを贈った台湾在住邦人も、台湾自体も、日本だったわけで……?
島国ニッポンの感覚が染み付いている自分としては、そんな時代があったことがなんだか不思議な気分だ。
歴史に思いを馳せながら歩いていたら、なんだか凄く近代的な雰囲気の建物が出現。
流石は新宿御苑、飽きさせることがない。
どうやらこの建物は熱帯植物を展示するための温室のようだ。
まさかそんなものまであるとは。
なおルーツを辿ると明治8年(1875年)に既にガラス張りの温室があり、平成24年(2012年)に今の姿になったという。
この旅行記は2017年のものなので、つい5年前に出来たばかりの施設だったようだ。
伊豆シャボテン動物公園で温室には入ったばかりではあるが、もちろんここにも寄っていくとしよう。
果たしてどんな植物たちが見られるのか。
次回へ続く……!