キッザニア風味なバーガー屋に遭遇して、初バイトを想う
夏休みのある日、ソロでフードコートに行くことに何の躊躇もなくなった自分は、とあるハンバーガーを無性に食べたくなってイオンへと向かった。
夏休みゆえになかなかの混み具合の店内。
注文を終えて、しばし待つ。
・・・
・・・
うーん、普段の3倍くらい待ってるけど未だに呼ばれないぞ……?
(普段より混雑はしているし当然な気もするけど)
なにかあったのかとバーガー屋の方を見てみる。
するとそこには、キッザニアみたいな光景が広がっていた。
いや別に15歳未満の子供を使役していたとかそういうわけではもちろんないのだが、なんかこう……今日はすごく小柄な店員が多いのだ。
自分の注文を受けてくれた店員さんだけは普通の成人女性という雰囲気なのだが、それ以外がもうどう考えても小柄な学生という感じ。
そして普段は2人で回すことすらある狭い店舗なのに、今日はキッチンを合わせると5〜6人くらいの店員が居るようだ。そしてその動きには新人特有の迷いが見える。
……ああそうか、夏休みだからか。
これはきっとこの辺りの高校生とかが、夏休みを利用してお小遣い稼ぎと社会経験を積んでいるのだろう。
さっきからベテランらしき店員さんが死にそうな顔で他の人に必死に指示を出しているのが非常に気になるところだが、なにせこんな状況は長年この店を使ってきた自分も見たことがない。
こりゃ多分、このベテラン以外はみんな初めてのバイトなんじゃなかろうか……?
混雑する夏休みにそのシフトはヤバいだろと思いつつ、これは提供時間がかかってしまうのも仕方ないなと、暇な自分は読書タイムに入ることにした。
スマホがあれば本棚を丸ごと持ち運べる今の時代、暇つぶしには困らない。
そんなわけで、待っている間に電柱鳥類学の本を読んだおかげで電柱に詳しくなった。(鳥は…?)
そして視線をバーガー屋に向けると、相変わらずてんやわんやである。
……でも思うのだ。
初めてのバイトで飲食&接客業を選べるこの子たち凄いなと。
陰キャな自分じゃフードコートのバイトなんてとても出来ない選択である。
思えば自分の始めてのバイトは、親の知り合いがやっている自動車の部品工場だった。
いつかの夏休みに、親が突然「働いてみない?」と聞いてきたのだ。
あれは今思えばゲームしかやっていない自分を見て、「このままじゃヤバい」と思ったのかもしれない。(実際その後ニートになるわけだが)
初めてのバイトに緊張はしたものの、どうもその仕事に誘ってくれたのは昔から馴染みのある近所のお姉さん(社長令嬢)だったことが判明し、特に不安はなくなった。
(お姉さんと自分の働きぶりを見に社長が来たりして、働いている人がびっくりしていたのを覚えている)
なお仕事内容は誰でも出来る非常に簡単なものだったが、あのバイトでした経験は他の仕事でもその後活躍してくれることがあったりするのだ。
やっぱりなんでもやっておくべきなんだろうなと思う。
経験は身を助ける。
(だから無意味な無職期間は非常にもったいないのだ…)
あのバーガー屋の高校生(?)たちも、このバイト経験が人生の大事な1ページになるんだろうなと思うと、ちょっと応援したくなってくるのだから不思議なものだ。
そして自分の初バイトを思い出す良いきっかけを貰えて良かったとも思えている。
……まあこれは自分が温厚な人間だからとかそういうアレではなく、休みだからなんだろう。
やっぱりあれだ、時間的な余裕があるって大事なんだなと。
ああ……
夏休み、もう一回来ないかなぁ……!!
そんなことを思いながら書いている夜勤明けなのだった。