【つながる旅行記#183】大阪市立科学館で『シェラック』を学ぶ
前回まで長いこと横浜に滞在してしまったが、いよいよ移動を開始した。
そんな自分は現在、洗濯タイムである。
さすがに手持ちの服がなくなってしまったのだ。
今まではコインランドリーの存在価値が分からなかったが、こうして旅をするようになるとありがたさがよくわかる。
経験は視野を広げるのだ。
さて、この凄いデカさの「玉出」の2文字だけで、自分がどこに居るかわかる方もいるだろう。
そう、自分は初めての大阪にやってきたのだ。
いつか来たいと思っていた大阪に。
さて、ネカフェでの疲れの取れない一泊を終えて、目的地を目指して歩き出す。
大都会大阪、一体どんな感じなのだろうか。
これは……淀川かな?
※土佐堀川
周囲を見回したら三菱重工があった。
横浜でも同じものを見たので、まだ横浜な気分がしてくる。
そういえば自分はそこそこ大都市を制覇し始めているが、どこの県にいるか一瞬わからなくなることがたまにある。
やっぱり都会は雰囲気が似ているということなのだろうか?
そんな事を考えつつたどり着いたのは大阪市立科学館。
科学館は子供向けなイメージがあるが、ものは試しだ。
思わぬ知識が得られるかもしれないし。
なんだか思ってたより大人も楽しめる感じで良い感じだ。
カフェでカレーも食べられたし。
そして興味を惹かれた展示もあった。
でもこれは虫が嫌いな人は注意だ。
商業的な意味でこれが嫌いな農家の人も注意だ。
その展示は、「シェラック」について解説している。
シェラックはいわば天然のプラスチックであり、おそらくはみなさんも一度は口に入れたことがあると思われる。
そして重要なのが、シェラックはラックカイガラムシからしか作れないということ。
ラックカイガラムシ……?
むし……?
これである↓
大阪市科学館、なんてものを作ってしまったのだろうか。
そしてカイガラムシ……聞いたことがあるぞ。
理科の資料集で、コチニール色素を作るときに使うと載っていた気がする。
でも虫由来ということで抵抗感がすごすぎるからと、大半の商品で紅麹色素に変更されるという流れがあったような……?
自分もそれを知って以降、いちご牛乳はしっかりとコチニール色素が入っていないことをチェックして買っていた記憶がある。
しかし……
お菓子に錠剤にサプリに……どうやらシェラックはあまりにも多様なものに使われているらしい。
あんなに虫由来だからとコチニール色素を避けていた自分だが、シェラックは摂取しまくりだったのだ。(消化されないらしいけど)
とはいえ自分のように心配になってしまった方のために、しっかりとシェラックについて解説してくれている。
そっかぁ大丈夫かぁ……
大丈夫ならいいか…………いいのか……?
そしてラックカイガラムシは孵化すると枝に大集合してキレイに並ぶ。
(※以下、集合体恐怖症の人は注意)
こうやって枝に大集合したラックカイガラムシたちは、枝に定着して1週間ほど経つと、口と肛門を除く表皮全体から分泌物を出すのだ。
それによってガチガチになった枝が以下の画像である。
これをなんやかんやするとシェラックができるらしい。
いやー、すごいな。(色んな意味で)
一体誰がこんなものを有効利用する術を考えついたのやらだ。
なお、このスチックラックは正倉院の宝物にあったりする。(紫鑛しこう)
貴重な薬品として伝わっていたらしい。
漢方は本当に守備範囲が広いなと思う。
そしてラックカイガラムシだが、孵化して10時間以内に枝にたどり着かないと死が確定するという悲しい運命も背負っているようだ。
「産まれたばっかだしちょっと休もう……」なんてことをしたらもう終わり。
虫の世界も過酷である。
カイガラムシの知識を得たあとに、謎のロボットと見つめ合う自分。
これは学天則というらしい。
このロボットは色々な民族の要素を包含し、時代や風俗に縛られない姿をしているそうな。
今風に言うと多様性に配慮してる感じ。
ちなみに製作者は、大阪毎日新聞社に転職した生物学者の西村真琴。
生物学者としてはマリモの研究をしていたらしいが、なんで生物学者からマスコミに転職した人がロボットを作っているのかは謎である。
人生はどう生きても自由なんだなと思える。
そんな大阪市立科学館でした。
しかしやっぱり試しに入ってみるものだ。
まさかカイガラムシについて学べる場所なんて想像できただろうか?
こういう偶然の出会いが面白かったりするのだ。
さてさて、大阪見物はまだ始まったばかり。
行きたいところは山ほどある。
次回へ続く……!