富士登山での飲料水の量について振り返る
自分の富士登山のザック重量12kgの多くを占めた、飲料水3リットル。
つまり自分は500mlペットボトル6本を背負っていったわけだが、果たしてその選択は正しかったのかを振り返ってみたい。
なにやら解説サイトを見ると、
「富士山では飲み物は山小屋で買え!」
「軽さを金で買うと思えばいい」
「水の消費は1日1.5〜2Lくらいですよ」
というような感じ。
……でも本当にそれでいいのか?
自分の御殿場ルートでの実体験と照らし合わせていこう。
まず前提として、個々人が持っていくべき水の量は当然違う。
体格にもよるし、汗のかきやすさなどの体質によっても変わるだろう。
そしてそこに環境要因も加わる。
暑さや寒さ、そして山小屋の有無などである。
そもそもの話、「飲み物は山小屋で買え!」なんて意見は山小屋サポートが充実している登山道だけにあてはまることなのだ。
自分の使用した御殿場ルートの序盤は山小屋に頼れないので、やっぱり自分である程度の飲み物を確保しておくのは大事だと思う。
では1日目の登山工程を振り返ってみよう。
そう、1日目は大石茶屋での休憩時のコーラ購入を含めて、見事に3Lの飲み物を消費していた。
安全マージンを考えても、3L持っていくことにした自分の選択は正しかったと思っている。
そしてその後のマージン維持のため、なんだかんだ1日目で2本買っている。
(水は飲む以外の使い道もあるので、それも考えて)
ちなみに2日目は以下のような感じだ。
なんというか、2日目は山小屋に頼り切りだったことがわかる。
半蔵坊で貰った宿泊特典の1リットルの水と、赤岩八号館で購入した1リットルの飲み物がなかったら相当厳しい戦いになっただろう。
それに山小屋の飲み物がなにかの事情で買えなかったらアウトだ。
(売り切れ、お金落とした等)
やっぱり富士登山って油断できないなと思う。
そんなわけで、しっかり1日3リットル以上の水を摂取していたことと、山小屋がなかったら下山時に水が足りなかったことがよくわかった。
もちろんこれは一番過酷な御殿場ルートの話なので、他のルートには当てはまらないことなのかもしれない。
ただここで正直に告白すると、自分は「水を持っていくのは大事だよ!!」という結論を導こうと思ってこの記事を書いていた。
でも実際に自分が行った富士登山の工程を見ていくと御殿場ルートでも山小屋があれば2L程度でもなんとかなるように見える。
大石茶屋→半蔵坊までなら、ペットボトル4本(2L)あれば足りているし。
やっぱり多くの解説者が言うように、自分で持っていくのは2L程度で、あとは金の力で山小屋に頼るというのが正解なのか……?
……いや、それでもやっぱり水がまだあるという安心感は大事だと思う。
持っていった水が残っている状況でも自分が水を追加購入した理由は、いざというときの安心感のためだったが、「そんなもの重いだけで無駄」という意見はやはり個人的には受け入れられない。
むしろ予備的な飲料水による1〜2kgの増加を許容できないような体力を問題視した方がいいんじゃないかと思ってしまう。
自分は登山最速記録を狙う人間でもないし、軽量化にこだわりすぎるよりは、やはり安心感を選ぶだろう。
先述したように、富士山は山小屋がいっぱいある。
一番山小屋のない御殿場ルートも、2022年に半蔵坊ができたことで昔よりは早いタイミングで補給ができるようになった。
仮に4Lの水を買ったとしても、ペットボトル8本で4000円くらいのものだ。富士登山を楽に終えるためならそれくらい払える人もいるだろう。
結局のところ、やはり個々人の判断に委ねられることになりそうだ。
そしてその判断がつかないレベルのときは、余裕を持って準備したほうが良いと自分は思う。
結論が出たんだか出てないんだかよくわからないが、これからも自分は夏山に行くときは最低3Lの水をもって出かけるのは変わらないだろう。
やはり余裕は大事だと思う。
余裕があるから楽しめるのだ。
過去の弥山での脱水一歩手前の体験を通して、やはりその想いは強い。
それに自分の飲みたいものを持っていくなら、やはり自分で背負っていかねばならないわけで。
山小屋チョイスの飲み物に自分の好きなものがあるかは運なのだ。
しかし今回御殿場ルートの登山をしたおかげで山小屋のありがたさが本当に良くわかった。
今回の富士登山は山小屋無しでは絶対に達成できなかっただろう。
そして同時に、山小屋のない山で何泊もしながら縦走する人たちは本当に凄いなと思った。
(自分の人生でそんな経験をすることはあるのだろうか……?)
そんなわけで、皆さんも命に関わる飲料水の量には気をつけて貰えたら幸いだ。
誰かを助けるためにも、これからも自分は余裕を持って準備したいと思う。