ふさがっちゃったピアスの痕
去年の11月、生まれて初めてピアスを開けました。
それはもう嬉しくて、わくわくして、ドキドキして、可愛いピアスを片っ端から買ったりしてはしゃいでいました。
でも、ふさがっちゃったんです。
というより、ふさぐことになってしまったんです。
どうも様子がおかしい、と思い始めたのは4月ごろ。
半年近くもファーストピアスをしていればそろそろ安定していてもおかしくないはずなのに、一向に浸出液が止まらないのです。細い綿棒でピアスの周りを掃除すると黄色い付着物があります。
腫れているようでもあるし、どうもしこりがあるような気もする。
消毒しても薬を塗っても変わらない。
悩みながら時間だけが経って、6月。
どうしてもその日つけたいピアスがありました。絶対に今日の服に合う。絶対に似合う。つけたい。
意を決してファーストピアスを外し、フックタイプのそのピアスをぶら下げました。そのときの自分の姿があまりに理想的だったので、やっぱりピアス開けて良かったなと思ったものです。
しかし帰宅してみると耳たぶがどうも痛む。
やっぱり安定していないホールにフックタイプは良くなかったかもしれない。今夜は消毒して、ファーストピアスも外して寝ようと考えました。
そしたら次の朝、もう穴がふさがっていたんです。
ファーストピアスが通らない。買ってあった細いセカンドピアスも通らない。とにかく普通に「皮膚に尖ったものを押しつけている痛み」がありました。――ショック……!
本当に本当にショックでした。しかも触ってみると、両耳にこりこりとしこりがある。そこに至ってようやく皮膚科へ出向いたところ、「粉瘤」との診断。ピアスホールを開けた際、皮膚の内側が袋状になり、そこに浸出液や垢などが溜まったもの。
放置してもさして問題はないが自然には治らないので、同じ位置にピアスを開けるならまず切除するしかない。もしくは放置して違う位置に開けるか、という話でした。
「この穴はもう使っちゃだめですよ。でも、もう一度開けたピアスホールが同じようにならないとは言い切れないです」
という先生のお言葉に、へにゃ、と心がしおれるのを感じました。
あんなに勇気を出して、きちんと病院も調べて、ケアも怠らず頑張っていたのにこの有様。ピアスだってもう何個も買ってしまったのに。
粉瘤を切除して、その傷を治してからまた開ける…その気合いがもうありませんでした。
でも、なんとなく分かっていた気がします。
だって半年たっても安定しないピアスホールなんてどこか異常があるに決まっているから。
悲しい気持ちで、不貞腐れた子供みたいな気持ちで、毎日ピアスの痕を見ていました。買ったピアスはどれもフックタイプでゆらゆら揺れるのがお気に入りだった。ただゆるりと耳に引っかかって揺れるのを楽しみにしていました。
でもそれも全部、つけられなくなってしまった。あーあ。
それから少しして、ようやく諦めがついたころ。
「イヤリングに替えればいいじゃん」
と、ふと気づきました。パーツショップなら近所にあるし、何ならそういうサービスを行っているジュエリーショップだってある。
あ、全部イヤリングにしちゃおう。
全部お気に入りなんだから。
持ち腐れになっちゃったピアスを全部持って、まずジュエリーショップに行きました。これ、イヤリングにできますか?って。
そうしたら店員さんが優先順位の高いものを聞いてくれて、それに合うイヤリングパーツ、丸環などを手早く探し出し、パパパッとその場で作り変えてくださいました。
わーーー! かわいい!
わたしの第一声がそれ。
ジュエリーショップなのでパーツ自体の品が良くて、結構お値段したけれど、全然後悔がないくらいにかわいかった。その日つけていたかったので包んでもらわずに耳に飾ってお店を後にしました。
その足でパーツショップに行って、5分の1くらいのお値段でイヤリングパーツと丸環とニッパーを買って帰宅してから悪戦苦闘です。
ジュエリーショップのお姉さんはあんなにスマートにシュシュっと整えてくれたのに、わたしときたら不器用で、丸環を開けたり閉じたりするのさえ上手くいかないんです。笑っちゃいました。
やっぱり一番のお気に入りは、ショップでやってもらってよかった。
イヤリングパーツのデザインも安いパーツショップのものはやっぱり少し野暮ったくて、でも手持ちのピアスを全部イヤリングに替えてしまったらそんなことはどうでもよくなりました。
これで耳につけられる! ちゃんと揺れる! ちょっと重いけど目をつぶろう! でも途中で丸環が外れちゃったらどうしよう、自作って怖い!
いろんな感情が湧いてきて少し感動した。
わたしでもできるんだなあって。
それから、出かけるときには大ぶりのイヤリングをしています。
ゆらゆら揺れる、可愛いやつです。
いつかまたピアスを開けたくなるかもしれません。粉瘤もずっとあるのはなんだか嫌なので、切除するかもしれません。
そうしたらまた新しくピアスを買って、ピアスもイヤリングも楽しみたいと思います。
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