[SIer]凄い人

仕事をしているとすごい人に出会う事はありませんか?

私は働いていた上で尊敬できる人とは何人か出会う事が出来ました。
一番に思いつくのは20代後半の時の上長です。私に"責任は私が取るので好きに仕事をしてよい"と言ってくれた人です。
また、その時の上長ではないけれど同じ部門に技術エキスパートの様な方がいましたが、その人を尊敬しています。技術力というか分析力というか、システムについて化け物レベルのスキルを持っていました。私が仕事で出会った技術者の中では社内外問わず、この人以上の人を知りません。
もう一人いますが、その人(Aさんとします)は尊敬というか凄いと思った人です。同じ会社に勤める別部門の上長でした。

Aさんは中途採用で私の働いていた会社に入社しました。
会社の業績が悪かった時に、あらゆる間接費がかかるもの(出張費もそうですが雑誌、本、文房具などの購入、研修費、無料で飲めたコーヒー等)の凍結がされました。
Aさんは、自腹でビジネス書を購入して自分の部門の人に配っていました。
私の働いていた会社にはいないタイプの人でした。
私との関わりは少しありましたが、直接的にかかわる事は少なく、間接的にいろんな意味ですごい人だという事を聞いていました。
家系が名門であるとか、誰もが知っている食べ物のチェーン店を知らないとか、子供の頃から帝国ホテルのホットケーキを食べていたとか(Aさんの年齢を考えるとものすごい事です)、かなりのおぼっちゃまであるとか、色々です。
私と話をした時も、外資系の会社などの社長とはかなりお友達が多いらしく、ある外資系のコンサル会社の話をすると「そこの社長は知合いだから、打合わせの場を作ろうか?」とか言われて恐縮した事があります。

ある機会があって、Aさんが長期出張にいっている地域に私が出張に行く事になりました。事前にAさんとは話をしていました。空港まで迎えに来てくれました。ホテルもAさんが手配してくれていました。
ホテルは、グローバルの超有名ホテルチェーンでした。
ホテルに着くと、Aさんはフロントの人と仲良く話をしていました。他のホテルの人とも仲良く話しています。私の部屋は立派ですが普通の人が泊まる部屋です。

その地域での仕事ですが、Aさんは一から地域の人とコミニュケーションを取り、仲良くなっていました。非常に驚きました。お祝い事があって職場の会議室にホールケーキが運ばれてきました。見た目はショートケーキですが、イチゴの代わりにドリアンを使ったケーキです。地域の皆さんと一緒にケーキを食べました。口には出しませんでしたがクリームがおいしくなく、正直まずかったです(お金持ちの多い地域なのに…)。私はそこでの仕事を終えてホテルに戻りました。

ホテルでは、Aさんから高層階のVIP向けのラウンジに誘われました。私の部屋のレベルでは入れない場所です。Aさんは入口の人と話をして私も入れる事になりました。しかも無料です。飲み物食事に価格表はありません。ものすごくセレブな空間です。ありえません。自分は経験した事が無い事を経験しました。料金を払ってホテルの高層階のラウンジとかには行った事がありますが、このようなVIP専用のラウンジは初めて入りました。Aさんから教えてもらいましたが、AさんはそのホテルチェーンのVIP会員だとの事でした。
Aさんからは、なぜ私の働いている会社で働いているかを教えてもらいました。Aさんは就職した時はグローバル企業で働き、すぐに海外勤務だったそうです。海外ではそれなりの権限があり、自由に仕事が出来たそうですが、日本に帰ってくると、主任という役職で自由が利かなかったそうです。その為、その会社で働く事が馬鹿らしくなり、またすぐに海外の企業に転職をしたそうです。その後海外の企業を転々としてキャリアを築いてきたそうです(キャリアは本当に凄いです)。ある時、海外の企業ばかりで働いてきたけど、日本企業で一度働いてみたいと思ったそうです。それでいくつかの企業で面接を受けたそうですが、キャリアが凄すぎて採用してくれる日本企業は無かったそうです。働く条件はお金ではないそうです。今まで働いていた会社のストックオプションで十分なお金をすでに持っているそうです。その為、転職活動の際は地位などは求めなったそうですが、採用してくれる会社は無かったそうです。その中で、私の働く会社で面接を受けた時に、その時の採用を担当していた役員がいい加減な人で、居酒屋に呼ばれて採用と言われたそうです(その話を聞いて、私は私の働いていた会社やばいと思いました)。それで私の働いている会社で働き始めたそうです。でもやっぱり合わなくて退職を考えていたそうですが、今いる地域を担当する事になって、地域の人とも仲良くなって、地域の人を裏切る事はできないから、出張先の地域で働く事を決めたと言っていました。
私も一緒にその地域で働かないかと、このホテルのVIPラウンジで誘われ(口説かれ)、非常に魅力的に感じ私はAさんに付いていきたかったのです。しかし、残念ながら帰社後ある理由で断る事になりました。
Aさんは忙しく働いていたのですが、その中でも時間を作ってくれて、夜にカジノとかいろいろ連れて行ってもらいました。

私がその地域を出発する日になって、フロントで清算をした後、ホテルのジムやプールのある所に行こうと言われました。私はすでに清算もしてチェックアウトしています。Aさんは、プールやジムのあるエリアの入口の人に軽く仲良さげに話しかけて、私はAさんと一緒にプールのあるエリアに入る事が出来ました。いや、おかしいでしょ。私はチェックアウトをしています。オプション料金も支払っていません。Aさんは別に大丈夫って感じでした。長期間そのホテルに泊まっている事もあるためだと思いますが、ホテルのあらゆるスタッフと仲良くなっています。毎朝あらゆるスタッフに声掛けをしています。何でもにこにこと会話をして特別対応をしてもらっています。
コミニュケーションってこういうものなんだと思いました。また、この人はコミニュケーションのお化けだと思いました。
そういえばAさんはその地域で、タクシーなどに乗る時も、運転手に積極的に話しかけていました。色々な話を聞けました。
帰りにその地域の有名料理屋に連れていく事が出来なくて、ごめんと言われました。

その後Aさんはその地域で働く事になりましたが、素晴らしい成果をあげていました。本当に信じられないほどの成果をあげていました。もっと近くで手腕を見ていたかったなと思いました。ある理由で断りましたが、もし断らずにAさんに付いていったら私の人生は全く違ったものになったと思います。



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