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CD4+/CD8+細胞に対しての抗原提示機構

CD4+/CD8+細胞に対しての抗原提示機構をまとめる。




外来性抗原のCD4+/CD8+細胞に対しての抗原提示機構

※図では模式的に外来抗原を例に挙げている。
(なお、CD4+細胞の主な標的は内在性抗原である。)


外来抗原認識

抗原はPAMPs(Pathogen‑associated molecular pattern molecules)という病原体関連分子パターンを持つ。
樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞は抗原のPAMPsを認識するPRRs(Pattern recognition receptors)というパターン認識受容体を持つ。

PRRsには
■ Toll様受容体(Toll-like receptor: TLR)
■ NOD様受容体(NOD-like receptor: NLR)
■ RIG-I様受容体(RIG-I like receptor: RLR)
■ C型レクチン
■ スカベンジャー受容体
 といくつか種類がある。

このうち、 TLRは細菌やウイルスなどの特徴的な構造を見分ける受容体である。

別記事参照
・PRRsの種類
・TLRの構造
・TLRの種類


抗原提示細胞のTLR(Toll様受容体)が抗原のPAMPsを認識すると、細胞内に取り込み、リソソームなどの消化酵素により異物を分解して抗原ペプチドを作成する。

この抗原ペプチドが細胞表面に提示され、免疫系の主要細胞であるT細胞がTCR(T細胞受容体)で認識して獲得免疫が働く。
このT細胞の認識において、CD4+T細胞(CD4陽性T細胞)とCD8+T細胞(CD8陽性T細胞)では異なるので、それぞれについて解説する。


CD4+T細胞への抗原提示



CD4+T細胞

抗原提示細胞(主に樹状細胞、マクロファージ、B細胞)は、外来性抗原を取り込み、エンドソーム内で処理する。処理された抗原ペプチドは、MHCクラスII分子と結合し、細胞表面に提示される。CD4+T細胞は、この MHCクラスII-ペプチド複合体をTCRで認識し、活性化される。
このとき、T細胞の完全な活性化には共刺激が必要となる。


共刺激

共刺激とは、抗原提示細胞上のCD80/86(B7-1/2)とT細胞上のCD28と結合することで生じる相互作用である。
このシグナルは抗原認識と協調して、抗原特異的T細胞の生存、増殖、分化を促進する。
これがないとT細胞はアナジー(不応答)の状態となり活性化できない。
つまり、
①抗原特異的な第1シグナル:抗原提示細胞上のペプチド-MHC複合体とT細胞上のTCRとの相互作用
②抗原非特異的な第2シグナル(共刺激):抗原提示細胞とT細胞上の共刺激分子間の相互作用
この2つのシグナルがT細胞の完全な活性化に必要である。


CD8+T細胞への抗原提示



CD8+T細胞への抗原提示


すべての有核細胞は、内在性抗原(ウイルス感染細胞や腫瘍細胞由来)をプロテアソームで分解する。処理された抗原ペプチドは、MHCクラスI分子と結合し、細胞表面に提示される。CD8+T細胞は、この MHCクラスⅠ-ペプチド複合体をTCRで認識し、活性化される。
このとき、T細胞の完全な活性化には共刺激が必要となる。


クロスプレゼンテーション



クロスプレゼンテーション

一部の抗原提示細胞、特に樹状細胞は、外来性抗原をMHCクラスI分子上に提示する能力(クロスプレゼンテーション)を持つ。これにより、CD8+T細胞も外来性抗原に対して活性化される。


ライセンシング

活性化ヘルパーT細胞はCD40L(CD40 リガンド)を発現する。
この分子は、抗原を取り込んだ抗原提示細胞上のCD40 に結合する。
このCD40‒CD40L 結合によって抗原提示細胞が活性化され、共刺激分子の発現が亢進し、より効率的にCD8+T細胞の分化を誘導することができる。
この過程は、抗原提示細胞のライセンシング(licensing)とよばれる。
※CD40Lは活性化CD4+T細胞に発現するとされているが、活性化CD8+T細胞の30-50%もCD40Lを一過性に発現すると分かっている。


抗原認識と免疫応答

  1. パターン認識受容体(PRRs):抗原提示細胞上のPRRs(特にTLR)が病原体関連分子パターン(PAMPs)を認識する

  2. 抗原の取り込みと処理:PRRsの活性化により、抗原提示細胞は抗原を取り込み、処理する。

  3. MHC分子との結合:処理された抗原ペプチドは適切なMHC分子(クラスIまたはII)と結合する。

  4. 第1シグナル:T細胞受容体(TCR)がMHC-ペプチド複合体を認識する。

  5. 第2シグナル(共刺激):抗原提示細胞上のCD80/86(B7-1/2)とT細胞上のCD28と結合し、共刺激が起こり、T細胞が活性化する。

  6. 免疫応答の誘導:活性化されたT細胞は、サイトカイン産生や細胞傷害性機能を通じて免疫応答を誘導する。


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