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美少女ゲーム視点から読み解く、セカイ系SF漫画『エルフェンリート』

 久しぶりの更新になりますがこの上なく自己満足の上、ちょっと夢入った痛々しい記事です。そういうのに耐性がある方向け。ついでに美少女ゲーム及びエルフェンリートという作品が好きなオタクの方向け。


 『エルフェンリート』。

 凄い好きな漫画の一つです。

 まあ、感想に関してはこれまでブログやらTwitterやらで何度か断片的に書き連ねたこともあり、本記事では一風変わった視点で本作を見つめ直してみたいと思います。

 というのも、題にある通り、美少女ゲーム的なガジェットがふんだんに盛り込まれた作品なのです、本作は。

 試しに少しだけ挙げてみるのならば、

①記憶喪失の主人公、

②故郷への帰郷、

③幼い頃の想い出もとい事件が現在に影響を与える、

④美少女たちとの疑似家族的な同居、

➄サブヒロインの存在、

➅人類存亡をかけた問題と主人公たちの日常が並行して描かれる点、

 などなど……。

 それでは、本作の正ルートをメインヒロインのルーシー√とすれば、他のヒロインたちはどういう描かれ方をしているのか。各ヒロインたちのルートがあればどういうフレーバーになるのか。それを独断と偏見でゆるーく考察するのが本記事の目的です。

 未読な方向けに各ヒロインの特徴を書き連ねておきます。なお、美少女ゲームとは言ってもヒロインの多くはJK未満、というかガチ幼女もいるので、ここではギャルゲーというこことにしておきます。ロリコンはマジで病気。

各ヒロインの所感
 

・ルーシー/にゅう

 メインヒロイン。実質もう一人の主人公。ディクロニウスなる新人類の祖と言える少女であり、躊躇いなく人を殺害する「ルーシー」と、白痴とも言える純真無垢な少女「にゅう」に人格が分裂している。所謂多重人格。”偶発的事故”により研究所を脱出し、主人公たちと出逢う。正√。

・ユカ

 主人公の従妹で幼馴染み。同じ大学に通っている。例の如く主人公のことが好き。主人公とは過去の事件を巡って確執があり、そのことを未だに強く根に持っている。ヤキモチ焼きで、年齢の割に嫉妬しがち。


・マユ
 
 義理の父親から性的虐待を受けて家出した少女。四つん這いになってよく広げて見せてとか言われてる。可愛い絵柄でさらっと書かれているがその分の重みが。家庭環境が劣悪で、主人公たちが引き取ることに。



・ナナ
 
 ルーシーと同じく新人類の少女。生殖能力がない。研究所の人物を「父」のように慕っており、ファザコン。ちょっと(かなり)抜けたところがあり世間の一般常識にも疎い。よくマユと一緒にいる。





・ノゾミ


 音大を志望する優等生の少女。ユカの後輩。引っ込み思案で、お漏らし癖がある……。厳格な父親に音大進学を反対されており、レッスンの為に主人公宅にやってくる。あまり本筋には絡まない。サブ。


・マリコ
 
 研究所の奥底で幽閉されている「最強」のディクロニウス。研究所の室長の実の娘であり、残忍性と純粋性を奇妙なバランスで併せ持つ。主人公たちとは直接のつながりは薄い。敵側のヒロイン、枠?



 それぞれに様々に困難な問題を抱え、癒されるべき”傷”を織った少女たちが主人公と交流し、宛ら疑似家族的な生活を営む……。従妹との恋愛や記憶喪失、物語後半は冬を舞台にすることもあり、どこかしらにkey作品、特にKan〇nの影響が垣間見えます。リアルタイム世代ではないのですが、初めてプレイしたノベルゲームがKanonな身としては、「ああ、熱中する下地は既に培われていたんだなあ」などと謎の感慨に耽ったり耽らなかったり。

 本作では途中下車方式の様に、ヒロインたちがメインに躍り出ては脇役に戻ります。傷を抱えた少女たちの方はともかく、メインヒロインのルーシーは徹底して傷を与える側である。被害者ではあるのだが、あまりにも殺しすぎ、というか多くの人の人生を狂わせすぎ。セカイ系へのアンチテーゼとも呼ぶべきか、ヒロインが最大の被害者でもあり、最大にして最悪の加害者でもあるという点は、今にしても斬新だと思います。半端な描写ではなく、間違いなく疑いようもないほどに悪役です。

 メインヒロインがラスボスにして全ての元凶であり、救われるべき存在、黒幕など、多くの役柄を兼ねている。多重人格の問題や過去の事件の錯綜ぶり、研究所と主人公たちの立場の相違など……。物語への導線が多く、見所が多いなあと今更のように読み返して思いました(現在5巻まで)

 まあ、どう贔屓目に見てもセカイ系(レイプ)ファンタジーでありがちな「可哀想な女の子」像よりも邪悪で凶悪なヒロイン像の方が相応しいと思う。善良な主人公にとっても復讐の相手であり、最大の壁。物語の最期にどのような決断を下すのかはまあ読んでもらうとして、

 本記事は美少女ゲーム的視点から、

 もし美少女ゲーム的視点に満ちた本作をより美少女ゲームらしくするなら

 という視点で夢想する夢記事である。どうか期待しないでください。 

 さて、美少女ゲームと言えばルート分岐である。

 分岐とは、可能性の取捨選択とも言える。

 誰かを救えば誰かを助けられないと言うような、絶対的なモノから、複数のあ脳性を提示することで可能性を網羅でき、より全体としての満足度、物語の密度を余すことなく埋められるという利点があることはまあ私が語るまでもないだろう。

 先ほど、途中下車形式と言ったが、メインヒロイン以外の楓荘(主人公宅)の住人、ユカ、マユ、ナナ、ノゾミに関して簡易な考察を試みてみる。

①ユカ

 幼馴染ヒロイン。最初から好感度マックス。過去の事件を巡って主人公と確執があるが、これは主人公の記憶喪失、というか父親と妹を眼前で殺害されたトラウマによるものである。疑似家族的な同居が観られる本作だがユカは主人公の実の従妹でもあり、最も近しい存在でもある。なら単純に、過去の事件を巡るいざこざが解消され、普通に結ばれるという王道路線が吉か。

②マユ

 年下ヒロイン。12歳なのでまあ割とアウト。恋愛関係ではなく、彼女の男性不審を軽減するとか、飼い犬のわん太を絡めた交流をするとか……。まあ、そんな感じでいいのではなかろうか。正直、序盤に出番が集中しているため扱いが難しく、彼女のルートがあるとすれば序盤で他のヒロインが出揃う前が無難か。CL〇NNADじゃなけれど、以前の家族とよりを戻し楓荘から離れるという選択もアリにはあり、か……? あまり普通の恋愛路線は生い立ちと年齢的に難しい様な。

③ナナ
 
 新人類系ヒロイン。マルチみたいなロボットヒロインに近しいかもしれない。ドジで阿保。とにもかくにもファザコンなので、研究所Sideとの交流が不可欠というか、ルーシーとは完全に敵対することに成りそう。この、誰かを選んだら誰かを選べないというジレンマに陥ることがないように配することはこのハード極まる作品では難しいように思う。父性愛的な側面を押し出し、彼女に「普通」を教え、一般釈迦に溶け込む手助けを……とかそういう路線か。

④ノゾミ

 サブヒロイン。あまり出番が少ないが、彼女の「唄」は重要な伏線。アニメではオルゴールになっているのはご愛敬。音大進学の手助けとして居候を許可するわけだが、やはり進学に関するイベントが目白押しになるにだろうか。ラブ〇なみたくみんなでお勉強とか……。明らかに楓荘とかいうネーミングはl〇veひなだよなー。とか思ったりする。見た目は黒ロン清楚系なのに、全国模試の常連なのに、お漏らし癖があるという地獄みたいな設定。彼女の芯を補強するような、成長イベントが盛りだくさんのルートになりそう。

 と、ここまで好き勝手に二次創作めいた夢物語を展開してきたが、エルフェンリートという作品が美少女ゲームから強い影響を受けているのは間違いない様に思われる。自分の慧眼というか、この作品が好きなら美少女ゲームにも熱をあげるよなあというほど、ふんだんにガジェットが盛り込まれている。一時期は入手困難で、私などは高校時代古本屋を駆けずり回ったり密林でプレミア買いした記憶はあるが、今ではkindleという便利なものがあり、格安で電子入手できるので、興が載った方は読んで見てはいかがだろうか。
 
 時の風化に耐えうる、なんというか、唯一無二の作風である。セカイ系ともゼロ年代SFともテンプレから微妙に外した、それでいてちゃんと面白い。

 アニメの方も良い。というか私はアニメから入った。最終話がね、アニメも漫画もほんとにいいのでね、是非ね、触れてみて下さい……。オチはないです。


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